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「う……くぅ」
ゆっくり思考をまとめたいのに、現実は待ってくれなくて……寝ている間も道具によって苛まれていた体が、勝手に熱を帯びはじめ、遥人の心などお構いなしに自然と腰が揺れてしまう。
「お前……大丈夫なのか?」
明らかにおかしな遥人の様子にきっと驚いているのだろう。珍しく言いよどんでいる大雅の姿を目に映し、ようやく遥人は自分の置かれている状況を理解した。
――そうだ、俺は……。
保健室へと行く名目で教室から連れ出され、付き添いの堀田によって用具倉庫で嬲られていた。
逃げ出そうとしたところを、大雅によって救われたのだが、大雅本人は遥人に何が起こっていたかは知らないはずだ。
「保険医が居なかったから、熱計ろうと思ってシャツのボタン外したんだけど、お前、もしかして……」
「……っ」
問いかけてくる大雅の声に、火照っていた体中から血の気がサッとひいていく。
実は今日、遥人の体を戒めていたのは貞操帯だけではなく、上半身も細い縄できつく縛り上げられていた。
――見ら……れた?
「とりあえず苦しそうだったから、縄は切らせてもらったが、お前、そういう趣味なのか?」
「ち、ちが……ちがいます」
不思議なものでも見るような顔で大雅が真面目に聞いてくるから、必死に言葉を紡ぎ出し、遥人は誤解を解こうとする。
「じゃあ、無理矢理されたのか?」
「……」
切られた赤い縄を手に取り、こちらへ示した大雅に向け、「はい」と口を開きかけたが、音になる前に遥人の言葉は喉の奥で凍り付いた。
「あ……」
まるで全てを見透かしたようなタイミングでドアが開き、玲が入ってきたからだ。
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