32 / 415

17※

 出しきった俺の陰茎は、心の求めに応じるように緩く芯を持ち萎えない。  再度トロトロと粘液をたらし、新たな刺激を欲しがっている。  気がついたら、手が勝手にそそりたつ屹立を擦り始めていた。  胎内が真っ赤に腫れるほど激しく擦られる快感をおかずに、自ら思う様クチュクチュと弄り、我慢したぶんを埋めるように耽る。  こんなの、よすぎる。  だから、仕方ねぇから、それだけだから。 「ふっ、俺の腕噛んでんのかと思ったら、シャツ吸ってんの? ヤッてる時口寂しいタイプとか、犬っぽいな、ククッ……ほら、両手使っていいから、好きなだけ俺をオカズにオ‪✕‬ニーしてもいいですよ」 「ぁ、あ、ぅ」 「だってもう、あんたの負け。だからあんたは、俺のオモチャ。俺だけの、オモチャ」  ──別に、お前にハマったわけじゃねぇ。  そう言いたいのに、口から出るのは甘ったるい嬌声ばかりで、敗北宣言をしているような気分になった。  俺が自分のシャツ噛みつき始めるのを見て、三初はなぜか機嫌が良さそうにニヤニヤとした笑みを浮かべる。  俺が負けたのがそんなに嬉しいのかコノヤロウ。とんだゲス野郎だ。バカ、バーカ。 「ぅう……っは、ぅ……っ」 「不満そうな顔しないでくださいよ。そういうゲームだったでしょ……? ふっ、ケツに名前でも書いておこうかね」  楽しげなトーンとは裏腹に不穏なセリフ。  ギシッギシッと便座の蓋が軋む。激しい突き上げと共に悲鳴が漏れるのを腕を逆に押し付けられて、捻じ伏せられた。  擦りあげる手の中がドロドロだ。  片手で竿を扱き、もう片方の手の親指で尿道口を円を描くように刺激する。  パチュッと粘着質な水音が絶えず響く狭い個室内は、会社から切り取られた異室のように感じた。  普通に生きていて腹の中を他人の肉に掻き回されることなんてないはずが、俺はそれを気持ちいいと感じ、受け入れている。  そして同じ男を、それも自分の先輩を、なにも知らない体から抱かれる体に変えていく様を楽しむ性悪男、三初 要。 「ふ、く……っん、あッ…う、ぁっ……」  不意に角度を変えつつも大振りな抽挿から、次第に小刻みで速い突き上げに変わった。  絶え間なく結合部が擦れてたまらなくなり、漏らしそうな解放感に「ぁ、っひっ、いっ」と声を上げ、高められていく。  ぼやけた視界で三初を見上げると、目を合わせた三初はニマ、と笑ったが、俺から体を離そうとした。 「は……っ、やべぇね……ちょっと、抜きますよ」 「っ、なんふぇ……っみふぁひぃめ、っぷぁっ、んっ……抜くな、中にいろよ……っ」  同時に中を犯していたモノが引き抜かれそうになり、もう少しでもう一度達せそうだった俺は、阻止するべく腕から唇を離した。 「もうちょっと、ちょっとで、いけるから……っやめるな……っ」  必死に三初の腰に足を巻きつけ、ギュゥッ、と引き寄せる。  足に力を込めると、連動して柔らかな内壁がキツく中の三初を締めつけた。  熱いそれがビク、と張り詰める。感じたのか? じゃあもっといろよ。 「なに、……っアンタってやつは、ねぇ。嫌だったんじゃないんですか? ねぇ、俺に中に出されてもいいの……?」  三初は小刻みで更にゆっくりとした抽挿を再開しながら、俺を小馬鹿にするようなことを言った。  なにをするって言った? ええと、なんで抜くって……ダメだ。どうでもいいから、そのまま俺をちゃんと抱いてろ……ッ! 「い、イイから……っやめるな、中でいいからぁ……っ! イカせろよぉ……っ、俺に出して、みはじめぇ……」 「ッ……ククク、あーもう……男で良かったですね、御割先輩。そんじゃもう一回、ちゃんと言ってみ……?」 「あっ、ぁ、あ、んっ」  腰を両手で掴まれ腹筋の内側をトントンと突かれながら、小声で尋ねられる。  絶頂を目前にした快感の波と、三初の熱が、たまらない。 「俺の一番奥に、お前の、よこせ……っ」  未だ存在していると確認したかった俺の沽券は、気持ちいいことに弱すぎる自分が、たった今ブチ壊してしまったのだった。

ともだちにシェアしよう!