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 エビのように背を丸め、シーツの湿った部分を避けるように寝そべる。  足元に座っている三初をキックで攻撃しようかとも思ったが、それはやめておいた。  どうせ止められるのだ。体力を無駄に消費するのはやめよう。 「というか、マジで今日しつこすぎだぜ……! 殺す気かテメェ……!」 「そうですっけ。ま、死んでないでしょ。ダイジョーブダイジョーブ」 「まぁじゃねぇんだよ死ぬまでヤんなよッ」  最中は余裕がなさすぎて、あと三初が聞く耳持たなすぎて言えなかったことを伝えると、しれっとそんな三初論を語られた。  過ぎれば地獄でしかない快感がどれほど辛いか、てんでわかっていない。  でも俺には言いたいことがまだまだある。割愛するから是非聞いてくれ。  ──こちとら受け身で三時間ヤッてんだよ絶倫鬼畜男がッ! せっかくの花金に直帰で飯より風呂より即セックスなんだよッ! 拒否権なんでかねぇんだよォォォッ!  ……うし。ご静聴ありがとよ。  本人に伝えても無駄だった魂の叫びは、心の中でしっかりとおかわりをしておいた。  そのくらい今日のコイツは本当に〝いつもより多めにサド成分出してますよ〟って感じだったからな。  ひたすらねちっこく時に激しく、俺の体力を根こそぎ削りとろうって悪意を感じるくらいのセックスである。  これは最早嫌がらせのレベルだ。  いやまあ気持ちはいいけど、腹上死目指せとは言ってねぇ。……あと打ち止めのその先を体験させられたのも、嫌がらせすぎた。  俺の体はセックスのたびにジワジワこうして性感帯を増やされたり、感度をあげられたりする。  三初のコレはおそらく、相手をイかせて身悶える様を眺めるのが好きなのと、調教趣味なのが合致した、恐ろしすぎる性癖が災いしているのだ。  というか、三初自体が災いでしかねぇ。  同じく長時間の性交で疲弊しているはずなのにもう涼しげな表情を取り戻している三初を、親の敵を見るような眼光で睨む。  壁に背を預け足を組み、ミネラルウォーターを飲む姿が様になっていた。ち‪✕‬こ爆発しろ。 「……俺にも水よこせ」 「ああ、代わりにフェラしてくれます?」 「食いちぎっていいなら出せよ」 「おーこわ」  身を乗り出して飲みかけのミネラルウォーターのペットボトルを差し出し、三初はクククと笑う。  それを受け取り、気だるい体をどうにか起こした。  温い中身を一口飲んでから黙って返せば、「全部あげます」と言いながらシッシと手を振られる。  隣に座る後輩の肩を、ペットボトルの底でゴス、と軽く殴ってやった。  ──ぐうぅ。  そんな事後のアンニュイな空気を割って、腹の虫が鳴く。虫の飼い主は俺だ。  そういえばなにも食べてなかったな。  時計を見ると、時刻は九時をとうに回っていた。夕食の時間には遅すぎるくらいだ。 「ああくそ、どっかの誰かさんが部屋に入るなりベッドに蹴り飛ばしたから、腹減った……」 「ね。先輩なんか買って来てください。もう出るのめんどくさい」 「お? そんな体力があるように見えるか? ええ? 誰のせいだ? 眼科行くか?」 「目つきエグイですって。そのキレる体力を買い出しに使えば……」 「黙って出前取れ」  もう一度肩を殴ろうとペットボトルを振ると今度はあっさりよけられて、俺の攻撃は空振ってしまった。  ……誰かこの暴君を俺の代わりに殴ってくれ……!

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