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05
今日も今日とてそんな感じだったので、俺は「なあ今日送ってくれんのかお前」なんて確認はしないまま、駐車場に向かう三初について行ったのだ。
それほど歩くことなく目的の黒い車を見つけ、他愛ない話をしながら助手席に乗り込み、バタン、とドアを閉じる。
この車の助手席も慣れたもんだ。
軽より車内が広めなので、体の大きな俺でも快適にドライブできる。そしてもう案の定という感じだが、三初は運転がうまい。
コイツマジで性格以外そつのねぇ男だな、コノヤロウ。
故におモテになられやがるわけだが……なんかムカツク。
シートベルトを締めるために肩に手を伸ばしながら、謎のムカつきを誤魔化すように声を出す。
「なあ腹減った。お好み焼き食いに行かねェか?」
「いいですよ。でも待ってる間にちょっと愉快なゲームを思いついたんで、足開いて股晒してもらっていいですか」
「おう。……いやおかしいだろッ!」
あんまり日常会話のように言いやがるから一瞬素直に頷いちまったじゃねぇかッ!
俺が運転席に乗り込んだ三初の呑気な声に物申すと同時に、覆いかぶさるように伸びてきた腕がシートベルトをグイッと引っ張った。
そしてそれを俺の両腕をひとまとめにしてグルグルと巻きつけ、拘束。
あっと言う間にシートベルトが縮み、腕を吊られた俺が抗議するより早く、シートのサイドレバーを引かれる。
ガゴッ、とレバーが突っかかり、リクライニングが限界までグイーンッ! と倒された。その道のプロか。どの道だ。
「おあっ!? ま、待て、待て待て待てェ……ッ! なんで縛るんだよテメェ、さては俺が抵抗するようなもんを仕込むつもりだなこの極悪サディストが……ッ!」
「お。よくわかりましたね、先輩なのに。ちょっとはIQ上がったのかね」
三初は偉い偉いと感心したように薄っぺらく褒めながら、助手席の前部分が邪魔でうまく足を動かせない俺の革ベルトを、カチャカチャと外し始める。
手際が良すぎて「うわっ」と悲鳴をあげた。ふざけんなコノヤロウ断固構い倒してぇのかオイ!
「なにすんだよマジでッ、ふっ普通に言えよ! 意外とオッケーするかもしんねぇだろッ、ただのセックスだったら別にっ、一回ぐらい、っ」
「そ? じゃあ言いますよ? いやね。カーセックスしてみようと思ったんですけど、先輩イキまくって車内汚しそうだしどうしたもんかと悩んだところ、そう言えばこないだ買ったアダルトグッズが積み込みっぱなしだったことを思い出したので、そうだ、アナルビーズ突っ込んでみよう……って感じ」
「どんな感じだコラッ!」
絶対自分では拘束をはずせない姿にされてしまい口元を引き攣らせて食い下がるものの、ニマリと笑みを浮かべてド畜生提案を暴露する三初。
しかし当たり前だが、俺がそんな説明で納得するわけがない。
というか全人類がするわけねぇ。
「京都行こうのノリでなんちゅう愚行思いついてんだ!? 嫌に決まってんだろアホかテメェッ!」
「だと思った。まぁ勝手にするんで、こっち気にしないでください」
「気になるわ嫌だわ断固拒否だわッて、オイ、な、なにガサガサしてんだ……ッ!?」
必死に身じろいでやめさせようとするが、抜き取った俺のベルトでしっかりと両手首を絞めなおされた。
三初は人の話を聞き流し俺の抵抗力を削いでから、後部座席の足元に置いてあった袋らしきものを、ガサガサと漁り始める。
おそらく件の買いっぱなしだったアダルトグッズだろう。
いや、なんで俺に使おうと思い立ったんだ。クソが。速やかに死ね。
予測不可能で回避不可能なミラクル鬼畜回路が平常運転で俺がかわいそうすぎる。
こう、惚れた女を抱くようにしろとは欠片も思わねぇけどもっと大事にしろ俺を! 厳密に言うなら俺のケツをだが!
あとブツと乳首と最近なら喉も労れ。
マジでしゃぶらせながら自慰させる遊びをそろそろやめろ。マズイ。
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