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「ふふふ、ふふ。そうと決まればグチャグチャのドロドロな寝取りプレイ、じゃない。マゾヒスト検査をしましょう!」
「ぐぅッ、うッ」
──ふざけんなこのクソド変態エロバカ上司がッ! 頭チ〇コでできてんのか!? 心の声がモロバレなんだよッ!
口から言葉で意思を伝えられずとも、俺は抗うことも吠えることもやめたりしないし諦めてもない。
寝盗られてたまるかクソ野郎め。
というか寝させねぇわッ!
「とはいえやっぱりサド役は手間暇目配りにリード力と面倒ですから得意でないのですけど……このメス豚が! とか言いながら鞭で打てばいいんですよね? 確か。ではそんな感じで……──恋人以外で感じるなんて、ダメな子。お仕置きしませんと。御割さんのア✕ズレケツマ✕コをガバガバにしてあげますよ」
語尾にハートでも付きそうな勢いでとんでもない宣言をするマネージャー。
俺のハートをへし折り組み伏せ、それによって三初にキレられるダブルエンジョイルート妄想により、テンションが爆上がりしたらしい。俺は爆滅してほしい。
ガッチャガッチャと暴れて逃げようとする俺の威嚇を無視して目隠しを装着させ、言葉のみならず視覚まで奪う。これじゃなにも見えない。
耳元でカチ、と音がした。
「ふぁ、ッ……!?」
「まずは一段階めから」
ヴヴヴヴ、と鈍く震え始めたプラグが内壁を刺激し、思わず声を上げる。
俺が好きなわけではないマネージャーは、三初よりずっと雑に俺を責める。
だがオモチャで嬲られたことは何度もある。雑に責められたことも、ちゃんと。それほど問題じゃない。
「ッ、ンッ……! 〜〜〜〜……ッ!」
カチカチッ、と矢継ぎ早に振動の段階を上げる音を聞かせられ、慣れる暇もなく増す乱暴なバイブレーション。
人の腹の中で釣られた魚のように激しくのたうつプラグと、その先端でコッ、コツッ、ココッ、と四方八方跳ねては壁越しに深くを荒らすノック。
「ゔッ…ふ、…ッ! ふッ……!」
深々と突き刺さり胎内を我が物顔で暴れ打つ無機物がもたらす責め苦に、俺は歯を食いしばって頭を振り、感覚を散らして抗おうとした。
けれどこれまでも無駄だったように、そう簡単には逃げられない。
この体勢はそもそも不利だし、プラグなんか挿れたままじゃ力任せに拘束を壊すこともできやしない。
チッ、ナーコの野郎、客室の備品なんざノン・キホーテのなんちゃってSMグッズで揃えとけよ優良店じゃねぇか。
──あぁもう痛てぇなクソが……ッ!
バチンッ! と破裂音が鳴った。
ただでさえ満身創痍な俺の尻を、バチンッ、バチンッ、とまたマネージャーが強かに鞭で打ち始めたのだ。
バカみたいだと思う。どいつもこいつもなぜ疑いなく鞭で打てば従うと思い込んでいるのか、笑えてすらくる。
親にオモチャ強請ってる子どもみてぇなもんだぜ。
買ってと言えば買ってもらえるはずで、でなきゃ癇癪起こして喚くんだろ? お願いだから言うこと聞いて〜ってよ。
オラ、頭下げて懇願しろやゲス野郎。
心はちっとも折れていない。むしろ反抗心が火柱を上げている。
手足の痛みと呻き声だけが虚しく響き、吠え声は口枷の空洞から吐息として吐き出されるが、心は唸っている。
なのに。
「……ッぉ、んッ……ふッ………んふッ」
これを〝気持ちいい〟と覚えている体は、弄ぶ相手が誰であっても、生殖器の根元を裏側から叩かれてしまえば、襞がうねって吸い付いてしまうのだ。
「ふふ、本当にメス豚のようです。こんなにグロいプラグ挿れられて鞭で打たれて傷だらけでも涎を垂らして濁った声で鳴くのですから、やはりあなたはマゾヒストなのでしょう。正真正銘のメス豚で間違いありません。ふふふ」
「ッ、ぅふえ…ッ! へうッ、ふッ……」
「ほら、これがお好きなのでしょう? 悦んでいるのでしょう? うふふ、そんなに興奮して……よっぽど気持ちいいんですね、もっと欲しいですか? ねぇ」
うるせー淫行上司。誰がテメェに感じるかコラ。強いて言うならプラグの制作会社だわバカヤロウ。
図に乗った打擲が煩わしい。
勘違いしてはしゃぎ散らかす変態の声ほど耳障りなノイズはない。
それなのに俺の体は着々と追い詰められて、ゾクゾクと全身が痺れた。
結合部から溢れたローションと体液が股座や内腿をしとどに濡らして、ポタ、ポタ、と床に溜まる。
前立腺をグィングィンと大ぶりなスウィングで本体に叩かれながら激しい振動で腸壁全体を擦られるだけでも喚き散らして暴れたいぐらい耐え難い刺激なのだが、同時にボール入りの先端部分が直腸より奥深くでコンコンと小刻みにぶつかると、気が狂いそうで我慢ならない。
「ふ……ッゔぅ……ッぅぅ……ッ」
ドロ……と熱く勃起しきった肉棒から濃度の高い粘液が滴り始める。
飽和しつつある快感。
這い寄る絶頂感。上り詰める精。
(はっ、チクショウ、チクショウ……こんなもんで、イキたくねぇ……っ)
足の先をギュッ、と丸める。
達しそうになる筋肉が痙攣し震えるが、俺は必死になって堪えた。
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