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プロローグ 大っ嫌いな男

同じクラスに一人、どうしようもなく嫌いな(ヤツ)がいる。 ソイツの名前は、木内(きうち) 蒼介(そうすけ)。 金髪に近い茶色の柔らかな癖っ毛と、青みがかった瞳を持つ、この男。 祖母がアメリカ人だと以前話していたのを聞いた事があるから、それらはどちらもきっと天然物なのだろう。 校則で禁止されていないとは言え、ブレザーの下に鮮やかな水色のパーカーを着込み、ラフに着崩され過ぎた制服姿はいくら似合っていたとしても、俺はどうも苦手だ。 頭はいいくせに幼稚で、阿呆で、いっつもヘラヘラと笑ってて...嫌いなところを挙げれば、キリがない。 とは言えそんな風に思っているのはたぶん、自分だけで。 そういうところも含め、蒼介だから仕方ないよねーなんていう言葉で全て帳消しにされてしまう、最強の愛されキャラ。 ...そこがまた、鼻につく。 なのに『運命の悪戯』なんて言葉で済ますには余りにも残酷な出来事が起きたのは、一日と少し前。 ...今俺の心は比喩などではなく、コイツの中(・・・・・)に囚われている。

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