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亜利馬、18歳のお仕事◆8
メーカー側から正式に顔合わせの場を設けてもらったのは、それから三日後のことだ。会議室に集められた俺達「ブレイズ」の五人とマネージャーの山野さん、その向かい側には「フリーズ」のメンバーと、そのマネージャーの海原さん。
フリーズのメンバーは三人だった。俺と獅琉はもう知っているリーダーの夕兎、その隣にニコニコと笑っている人の好さそうな青年、その青年の隣にはちょっと面倒臭そうにあくびをかみ殺している大柄の色男。三者三様、見た目も中身も全く違うタイプらしい。
初めに山野さんからブレイズメンバーの紹介をしてもらって、次に海原さんがフリーズメンバーの紹介をしてくれた。
ニコニコ顔の青年は秋常 。二十歳。
大柄の色男は怜王 。二十二歳。
「このような機会を与えて頂き感謝します。ブレイズの皆さん、どうぞよろしくお願い致します」
「………」
笑顔で丁寧に頭を下げた秋常は、三人の中で一番しっかりとしたお兄さんぽいタイプだった。背も高くスマートで、淡い茶金色の髪に大きなツリ目。その綺麗な目に見つめられると、吸い込まれそうになってしまう。
対して、つまらなそうな視線をこちらに向ける怜王は少し近寄りがたい雰囲気で、見たままのクールな大人の男前というタイプだった。ブレイズの大人代表である竜介と違うのは、せっかくの美形なのにちっとも笑わないところだ。
ちなみに新しく知った夕兎の情報は十九歳ということだけで、彼はさっきからずっと無言で俺達を睨んでいた。
「まずはそれぞれの活動を優先して続けて欲しい。フリーズ第一弾のDVDでは正式に「ブレイズのライバル」と銘打つが、実際にお前達が同じ作品で絡むのはまだ少し後の話になる」
山野さんが書類を捲りながら説明を始めた。
「フリーズの三人は主に『メンズインヘル』から作品を出しているが、フリーズとしてDVDを出す際とブレイズと絡む際にはメインレーベルからのリリースとなる。第一弾リリース後はブレイズの動画チャンネルにゲスト出演することも検討中だ」
俺はふんふんと頷きながら山野さんの話を聞いていた。獅琉は正面の三人を見て嬉しそうに微笑んでいる。竜介は何やら考えているような真面目顔で、大雅は相変わらず眠そうだ。
そんな中、潤歩はちょっと敵意を出して三人を見ているようだった。恐らく一言も挨拶をしない怜王と、こちらを睨んでいる夕兎の態度が気に食わないのだろう。
「フリーズはブレイズのライバルという立ち位置だが、弟分という意味合いも含まれている。グループ同士や個人間で争わせたり、売上げを競わせるつもりもない。元々はインヘルと契約しているモデル仲間だ。間違っても企画外でいがみ合ったりするなよ」
とりわけ潤歩に向けて山野さんが言った。俺も争い事は嫌だし、獅琉と竜介は誰にでも友好的だから問題ない。大雅は「別にどっちでもいい」タイプだけど、竜介が彼らに敵対心を抱かない限りは大人しくできる子だ。
ブレイズ側は、潤歩さえ落ち着かせれば大丈夫。
フリーズ側は、俺の独断だけど夕兎は根は素直そうだし、秋常は見た感じ良い人そうだ。問題があるとすれば、今も暇そうに頬杖をついてそっぽを向いている怜王だろうか。貧乏ゆすりもしているし、明らかに俺達を見下している様子だ。
「………」
――大丈夫かなぁ。
俺の不安が顔に出たのか、山野さんがふっと微笑んで言った。
「ブレイズもフリーズも、お互いを高め合って成長して行けたらと思う」
そして、少しだけ声のトーンを落として続けた。
「……が、当然問題を起こしたらどちらのグループも即解散だ。この企画は高め合うことを前提にメーカーが決めたものであって、足の引っ張り合いをするようなら原因となったモデルとの契約を打ち切っても良いそうだ」
そこでようやく潤歩の目から敵意が消えた。……むくれたように唇を突き出したままではあるが。
「それでは、今日の顔合わせは以上だ。この後予定がある者はスケジュールに従って行動してくれ」
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