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亜利馬、覚醒!?◆5
「良かったよ亜利馬くん!」
「秋常さん、ありがとうございますっ!」
俺達と入れ替わりで、今は竜介と怜王のショーが始まっている。タチ同士での絡みだから迫力も凄くて、会場も大いに沸いているに違いない。
「お客さんの顔、暗いから最前列ぐらいの人達しか見えなかったけど……熱気がめちゃくちゃ伝わってきて……何か、俺もすっごい興奮しました」
まだ少し手が震えている。俺は衣装を脱ぐのをアシスタントさんに手伝ってもらいながら、あと二回残っている自分の役割を思って気合を入れ直した。
「亜利馬くん、ちょっとだけ頭いじるね!」
雄二さんも大忙しだ。他のヘアメイクさん達もあちこち慌てた様子で動き周り、髪だけではなくモデルの汗を拭いたり顔のメイクを直したりとてんやわんやしている。だけどそれも含め、みんな楽しそうに笑っていた。
「亜利馬、着替えだ。水分補給も忘れるな」
「はいっ」
三人がかりの超スピードで衣装を着せてもらいながら、後ろから雄二さんが頭へスプレーを噴きかける。次は帽子を被るからそこまで髪を整える必要はないけれど、細部までこだわっているということなんだろう。
「亜利馬、カッコいい……」
「へへ。次の大雅の花魁も楽しみにしてるよ!」
俺は軍帽を被って胸を張り、黒の軍服に身を包んだ自分を鏡に映してニッと笑った。……まあ、始まれば下は脱がされてしまうけれど……
「あ、亜利馬くん忘れ物。着けるからちょっとじっとしててね」
そう言ってアシスタントさんが俺の首に着けてくれたのは革の首輪だ。錠前付きで、長いリードが下がっている。
「………」
「馬子にも衣裳だな、マジで」
「潤歩さん、難しい言葉知ってるんですね」
「馬鹿にしてんじゃねえぞ? 客前でヒィヒィ言わせてやっからな」
イベント前半のメインでもある、俺と潤歩の主従パフォーマンス。軍服姿の潤歩は流石にお世辞無しで男前だった。俺のリードを引っ張る姿もサマになっている。
汗だくになった竜介と怜王が舞台裏にふらふらと入ってきて、タオルと水を持ったスタッフさんが慌てて駆け寄る。相当激しい絡みになったのか、二人共髪がボサボサだった。
「頼んだぞ潤歩……」
「おう」
まずは俺が潤歩の前で膝をつき、次に両手をつく。
「ケツ振って歩けよ」
「う、うるさいなぁ……」
BGMが変わり、登場口の幕が豪快に開いた――耳をつんざくほどの歓声。リードを引かれ四つ足でステージ中央まで進む俺と、その後ろを悠々と歩く潤歩。中央のポールがある所まで来て、俺はゆっくりとその銀色の棒を握った。
少しずつ這うようにして身を起こし、背後にぴったりくっついている潤歩を首だけで振り返る。この時点でもうスイッチは入っていた。
「………」
両手を手錠で繋がれ、ポールに固定される。手首が傷付かないようになるべくポールを握っていろと言われたけれど、ついさっきまで竜介達が使っていたからか汗で滑ってしまいそうだ。
「んっ……」
だけどそんなこと考えている暇もなく、潤歩に唇を塞がれた。噛み付かれたといってもいいくらいに荒々しく貪られ、スポットの熱もあって頬が赤くなる……
「は、あぁっ……!」
軍服の上から弄られる体。尻の間から股間の盛り上がりを確かめるようにして揉まれ、俺は片脚を持ち上げてポールにしがみついた。ブーツのファスナーが光っている。
「淫乱な部下には罰が必要だな」
ピンマイクを通して潤歩の声が会場内に響き渡り、デカい歓声と共に俺の耳から頭の中、身体中へと這いずり回る。
「潤歩! 潤歩!」
幾つもの声が重なり潤歩の名前を叫ぶ中、微かに俺の名前を呼ぶ声も聞こえた。
「潤歩!」
「亜利馬!」
見られている。俺達、みんなに……期待されている。
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