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みんな、ずっと仲良し!◆2

「亜利馬、ファンの子にサイン書いてあげてたでしょ。良かったね。終わってから何時間も、ずーっと待っててくれたんだよ」  移動車の中で獅琉の隣に座りながら、俺はニヒヒと笑って両頬を擦った。 「本当は俺狙いだったのに、こいつしか見つからなかった、ってことじゃねえだろうな?」  後ろの席から身を乗り出した潤歩が、意地悪く笑って俺の頭をぐりぐりと撫でる。 「ち、違いますよっ、ちゃんと俺の写真持っててくれましたもん!」 「どうせならその場でチューくらいサービスしてやればいいのに、ケチな奴」 「そんなの考え付かないですって! 俺だって舞い上がっちゃってて……」 「まあまあ、二人とも暴れるなって。シートベルトしろよ」  竜介に言われてベルトを締め、獅琉がドライバーさんに行き先を告げる。後ろからフリーズメンバーを乗せた車が付いてきているのを確認して、車が目的地へ向け走り出した。 「大雅の花魁も竜介さんのホスト風も、獅琉さんのストリップも、見るのすっごく楽しみです!」 「俺のはよ」 「潤歩さんはバンドマン風でしたっけ。いつものファッションと殆ど同じじゃないですか」 「うるせえな、暴走して俺にチンポねだりまくってたくせに」 「あ、あれはっ!」 「そうなの?」 「マジか」  他三人が目を丸くさせ、声をあげる。俺はついさっきまでの自分を思い出してシートの上で縮こまり、頭を抱えた。  意識が飛んでいたわけではない。もうどうしようもなかったんだ。 「あぁ~ん、潤歩様もっと激しくぅ~、って腰くねらせて叫んでたじゃねえかよ」  瞬間、車内が笑い声に包まれた。 「や、やめっ、……!」 「はっはっは、そりゃあ凄いな! よっぽどだ」  竜介が豪快に笑い、獅琉が目元を拭いながら「はあぁ……」と溜息にも似た声を出す。 「亜利馬がそんなエロい子になってるとは思わなかった。それって、俺達のこれまでの躾けが良かったってことだよね」 「ち、違います獅琉さんっ。あれはあの場の雰囲気に呑まれたっていうのもあるし……!」 「……DVD、楽しみ」  大雅にトドメを刺され、俺は心臓を押さえてドライバーさんに言った。 「あ、あの、引き返してくださいっ。編集さんにその部分カットしてもらうように頼まないと……!」 「うーん、無理だねぇ。俺も楽しみにしておくよ」 「そんなっ……」  ドライバーさんまで皆と一緒に笑っている。 「俺もそろそろ潤歩坊やじゃなく潤歩様って呼ぶべきだな!」 「だろ? 竜介これからは俺のことそう呼べよ」 「潤歩様、そこにあるお菓子取ってぇ~」 「あいよ、獅琉」 「……潤歩様、俺のジュースも取って」 「あいあい、大雅」 「………」  ……しばらくはこのネタでからかわれそうだ。  俺は心の中で、さっき握手したファンの人に語り掛けた。  ……亜利馬はこれからもめげずに頑張るよ……。

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