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由樹くんのお腹の毛

 大学寮で同室の由樹(よしき)くんは、水泳部の特待生で体つきが良い。  水泳選手独特の逆三角形。そんな非常にスタイルのいいからだを見せびらかすように、由樹くんは風呂上りにパンツ一枚で部屋をうろつく。 「なあ、由樹くん」 「なに? 佐竹(さたけ)」  そんなパーフェクトボディの由樹くんに、ひとつだけ気になるところがある。 「その毛、抜かせてくれない?」  由樹くんのへそ下には、一本だけ黒く太い毛がちょろりと生えている。  それを指さして要望を告げる。  由樹くんは腕の毛もすね毛も、俺と違って産毛みたいなのしか生えてないのに、へその下のそこだけ、とても太い余計なものが一本生えているのだ。 「はぁ? 剃るじゃダメなん?」  由樹くんはストレッチをしながらそう言った。 「できたらこれで抜き去りたい」  俺は持っていたまゆ毛用の毛抜きを見せる。  由樹くんはちょっとだけ考える様な顔をすると、一つため息をついてこちらを見た。 「いいけど、抜いたら佐竹、一回ヤらせろ」  由樹くんの言ってる意味が理解できずに「は?」とだけ聞き返す。 「だからさ、俺ゲイなんだよね。佐竹って空手してるからかな? 俺好みの、いいカラダしてるんだよね。エッチさせてよ」 「えっ、俺体毛濃いけど! ギャランドゥーとか結構すごいっていうか!」 「意味わかんねぇし。それ関係ある?」 「いや、その……イヤじゃないかなって」 「嫌じゃねぇよ」  むしろ俺好み。由樹くんはそう言うと、毛の生えた俺の腕をまるでペットにでも触れるようにそっと撫でてくる。  じゃあいいか。と、そう思うと俺は由樹くんのお腹の毛の回りの肉、というより皮を摘まみ、ちょろりと生えている毛を毛抜きで引き抜いた。  ぷつっという音とともに、由樹くんのお腹の毛はなくなった。  由樹くんはつるりとした自分のお腹を撫でると「契約成立」とにやりと笑う。  俺はあっという間に寝間着代わりのTシャツを脱がされ、由樹くんに美味しく頂かれたのだった。  ◆了◆

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