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誰かを好きになることは(1)

頼りがいがあって、優しくて。 筋肉質な体に、低い声。 そして、高い鼻に切れ長の目。 例えばだけれどこんなふうに、個人の好みは人それぞれであって。 恋人にする相手も、できれば理想に近い人がいいと、誰しもそう思うのだろうけど。 「まじでさぁ、あんなダサダサな奴に告られてもって感じだし~」 「何でもっとかっこいい人がさぁ、あたしには寄って来ないわけぇ?」 見た目とか中身が、その人の好みや理想に合う合わないってことは、それは確かに大事な要素であることは分かる。 でもさ、家族でも親戚でもない、ただ同じ空間で過ごすことになった他人が、自分のことを好きだと言ってくれるんだから、それはとてもありがたいことだし、嬉しいことなんじゃないのかな。 自分の好みか否かで、人の気持ちを迷惑のように言わないで欲しい。 女子の会話って怖い、 そんなことを思いながらも話に耳を傾け、視線は大好きな彼へと向けた。 「はぁ……」 だけどそうは言っても、やっぱり見た目も中身も大事なことには変わりない。 僕の場合は、そこに性別も加わるんだから大変だ。 それに、どんなに僕が好きだと思っていたところで、この気持ちを彼が喜んでくれるとは思えない。

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