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それだけ?それとも……。(6)

━━━━━━━━ 最近、俊太の様子がおかしい。 いや、元から変わってはいたんだけど、最近の行動は完全に理解不能だ。 放課後だけじゃなくて休み時間にも、時間がある時は必ず俺に会いに来るようになった。 でも会いに来て何をしてるかって言ったら、ずっと俺の手を触ってるってだけ。 そんな頻繁にね、会いに来られたら、そりゃあ期待とかしてしまうけど。 会いに来てやることと言ったら手を触るだけたから、本当に好きなのは俺の手なんだなぁって、それだけをやたら再認識させられるのがツラい。 まぁ、可愛いからいいんだけどさ。 「俊太」 「んー?」 「俺の手触って楽しいの?」 恋人繋ぎみたいに俺の手を握り、ぎゅっぎゅって何かを確かめるように触る。 「あのね、……あ、やっぱいいや、」 「は?」 「えっと、確かめてるの」 「え? 何を?」 確かめてることは何? って顔を覗き込んでみるけど、俺を見ることなく手にばかり集中している。 一番フィットする位置でも確かめてるんだろうか。 「達久くんは、僕が手を触るとどう?」 「どうって?」 「気分とか」 手に向けていた視線を、俊太が俺へと移した。 相変わらずうるうるした瞳が可愛い。 「気分は……特に?」 俊太のこと考えてドキドキするし、触られるとそりゃあムラムラするけど、こんなこと答えられるわけがない。 だって、質問の意図が掴めないし、こんな状況でそうやって答えたら俊太を驚かせてしまう。 ……驚かせるだけで済めばいいんだけどさ。 「そっか、」 「ん?」 何が聞きたいんだろう。 俺は何て答えれば良かった? 「なんでもない」 俊太はそう言って、ふにゃりと笑った。

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