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第1話
とんでもない所へ来てしまったと思った
聖ペトロ学院
幼稚舎から大学まで続くミッションスクールで女子部男子部合わせて総勢8000人もの生徒が通うマンモス校だ。
そして通うのは生粋の名家の御息女ばかり
ここを卒業したということは自分は名家の出だという証であり、政治、経済的なコネクションも作りやすいという。
そう俺にはとんでもなく不釣り合いなところなのだ。
俺の名前は鈴木一、いや四菱一。
一ヶ月前まではどこにでもいる普通の高校生だったのだが、ホステスをしていた母が四菱財閥の跡取りを捕まえてから生活が一変した。
慣れない名家のしきたり、胸焼けがする贅沢な生活
俺たちは馴染むことが出来ず後ろ指を刺される日々だった。
ここに通うハメになったのは俺がはやく名家に馴染んで母息子ともに暮らしやすいようにという義父の気遣いだ。
まあ、厄介払いをして母といちゃつきたいってのもあるだろう。
まぁ、母さんが俺のせいでとやかく言われるのは可哀想だしな
反対を押しきっての庶民出加えてバツイチ子持ちの母が旦那の実家で肩身の狭い思いをしてるのを見てきた
まあ住めば都と言うし
「それにしても俺はいつ門の中へ入れてもらえるのだろう」
この学校は山奥にある。
雪のふりしきる山の中で放置される心情を30字で述べよ
何が悪いって門衛に編入生のことがちゃんと伝達されていなかったらしく「よくいるんですよ。そうやって中の生徒と接触しようとする人が」と突っ返されてしまった。
寒さのあまり水鼻は止まらずまつ毛には雪がつもりはじめている。ちなみに携帯は充電が切れてしまっている。両親に連絡しようにも出来ず門衛は取り合ってくれない。
そのうち担任か誰かが異常に気付いて迎えに来てくれるはず それまで耐えよう。
そう、腹を括ろうとした時前から急ぎ足でサクサクと音がした。
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