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新居さがし

ん? アラーム? 「朝か」 昨日のが夢だったら良かったのに。 「目が腫れてる。それもそうか、あれだけ泣けば腫れるか」 昨日。 貴史に別れようって言われて部屋に逃げたあとずっと泣いていた。 貴史に気づかれないように。 『急に朝から仕事になったから行くな。飯は無理して作らんでえぇからな』 無理してって何だよ。 俺は貴史、あんたが喜ぶ姿が見たくて作ってただけなのに。 やめよう。 飯食って、不動産屋にでも行くか。 ************** 「もう、こんな時間か」 夜どうするかな。 ヴーヴー 電話? 誰だ? 発信者を見ると先輩の柊さんだった。 「ん?柊さん?」 「遊佐ー今日暇なら飲みに行かないか?」 飲みに。 「いいですよ?」 「じゃあ、夜6時に事務所近くのカフェで待ってて」 俺たちは恋人じゃないんだから。 いいよな。 『今日、先輩と飲みに行くから遅くなっても心配しないでいいから』 そう、メールした。 まだ。 一緒に暮らしてるんだし一応連絡はしないとな。 「遊佐ー!」 「柊さん」 「来たな。なら行くぞ?」 「行くってどこに?」 「そんなん決まってるだろう?合コン」 合コン? マジかよ。 「遊佐恋人いないだろう?」 「え?あ、はい」 貴史とのことはほとんどの人が知らない。 俺たちの恋愛対象が男だって言うのも。 貴史はちょっと違うかな。 俺は男にしか好意持てないけど。 貴史は男女関係なく好意を持てる。 そう、バイって奴。 そういう奴らが集まるバーに行ってたら貴史と出会った。 貴史は芸能人だから最初は警戒してた。 ホントは遊ばれてるんじゃないかって。 でも。 貴史はそんなヤツじゃないってわかって。 俺たちは一緒に暮らすようにまでなった。 ***************** 「あー頭痛い」 昨日飲みすぎたか。 「遊佐、起きたか」 「柊さん」 「お前飲みすぎだぞ?……なんかあった?」 「……俺、付き合っていたヤツがいたんです。でも、一昨日ふられちゃって」 「……昨日、泣いてたのはそういうことだったのか」 「へ?泣いてなんかっ」 「泣いてた。飲みながらな」 柊さんにはバレていたのか。 恥ずかしい。 「で、一緒に暮らしてて新しい家を今探してるんですよ」 「だったら、とりあえず家に来るか?」 「え?」 「家広いし、事務所近いし。ゆっくり探したらいいじゃん?」 柊さん家に? ありがたいけど。 「つーわけで来週にでも引っ越してこいよ?いいな?」 柊さん家にしばらくお世話になることに。

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