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しづこころなく 第15話
「俺より、そいつらの方が大事っての?」
自分でも不機嫌だと判る声で、わざと確認するように念を押す。ガキっぽくて格好悪いって気もするが、 抑えられない。
「その逆」
モクモクとマジで美味そうに天ぷらを食いながら、弘人は当然のように首を振った。
「はぁ?」
――どういうこと?
だって『究極の選択』って、そういう意味だろう?
「俺の中で、お前は1番だよ。だから、お前じゃない方を選ぶ」
「……意味解んねぇ」
「えー?」
不満げに弘人が声をあげるが、不満なのは俺だ。弘人には目を向けず、ひたすら桜を睨みつけるように見つめた。
桜は淡い光に包まれながら、俺を憐れむように花びらを散らせている。
だがそれすらも、今の俺には怒りの対象にしかならなかった。
「んー? 俺バカだかんなぁー。どー言ったら解ってもらえんのかなぁ」
知るか、バカ。
「――つまり。お前には気を遣わないってコト」
「ああ?」
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