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私立志常(しじょう)学園は最寄り駅よりバスで45分かかる郊外にあり、そのバスも上り下り合わせて1日に3本しかないような所だ。 なぜそんな所に?と思うだろう。答えはシンプルに、コネがあったから。親の知り合いが経営に関わっているとかで、「ここならやす……安心して寮に預けられる」と(原文ママ)。 本当にたまたま知り合いだっただけで、うちの家自体は資産家でもなんでもない。普通のよくあるサラリーマン家族。不景気なご時世、断られたら単身バイト漬けで生活しようと思っていた。 環境を変えられるならなんでも良い俺は、これ幸いとそれに飛びついたというわけだ。 有難いことにここは入学1週間前から入寮を受け入れてくれるというので、今こうして前述のバスを降りて学園に向かっているのだけど。 「この地図分かりづらすぎ……」 入学の手引きと称したしおりを見ているが、大雑把な線は所々潰れてたりする。小学生の頃、学校に提出する資料に父親が書いた家の地図を思い出した。毎年担任の先生は迷っていたっけ。 「ぐぐろう」 諦めてスマホを取り出した直後、遠くから声が聞こえて顔を上げた。

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