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どうするかは保留にして、一旦「分かりました」と頷いた。そうすると先生はしばらく何も言わずにじっとこちらを見て、糸が切れたように悲しそうな顔をした。
「僕はね、本当のことを言うと少しがっかりしています」
「すみません」
騒ぎを起こしてしまった自覚があるので謝罪すると、緩やかに首が横に振られ、束ねた髪がそれに合わせて揺れた。
「頼ってもらえなかった自分の不甲斐なさにです」
返す言葉もない。先生はそっと俺の両頬に手を添えて、小さい子供に言い聞かせるように優しく続ける。
「冗談でも大袈裟でもなく、君のことも君の家族のことも大事に思っているんだよ。それこそ家族の一員のようにね」
初めて会った時に甥っ子のように思っている、叔父さんだと思って頼ってほしいと言われたのは、むしろ控えめな表現だったのか。どうしてそこまで? ただの先輩後輩の関係ではないのだろうか。両親共とそこまでの仲なのに、寮に入るまで俺が会ったことがないのも不思議だった。家族ぐるみの付き合いをしていてもおかしくないような。
何も言えないでいると、先生が俺の頬で遊びだしてしまった。
「あの」
「ほとんど大人だけどほんのり少年が残る感触……」
「せんせ」
……楽しそうだからまあ良いか。されるがままでそこそこ変顔を晒す。時々笑い声を洩らしているから分かっていてやっているみたい。それも含めて受け入れた。眼鏡をかけていたら大変なことになっていたかも。
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