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「ん……あぁ、ごめん。集中してて気付かなかった」
「お疲れ。リクエスト通りケーキ作ったぞ」
「ほんと? 楽しみだ」
その単語を耳にした途端、あいつの顔には無邪気な笑みが浮かんだ。俺の存在など忘れ、ケーキを用意した場所へと向かう。
やれやれ、と想いつつも、あいつの元気そうな姿にほっとする。
追い掛けるようにあいつのいる場所へと向かい、その隣へ腰掛ける。
「ねぇ、こんなすごいのを短時間で作ったの?」
「別に時間はあったし、飾りは乗せただけだ」
「でも、クリーム混ぜたりスポンジ焼いたりしたんでしょ? ありがとう」
フォークを手に取ると、丸いケーキからそのまま掬っていく。少し大きめの一口を頬張り、嬉しそうなあいつの姿がそこにある。
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