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 神社の周りを2時間ほど散策して部屋に戻ったのが18:00の少し前。  まったりしていると、扉がコンコンとノックされた。 「お食事、よろしいでしょうか?」 「どうぞ」  ガラガラと引戸を開けると、ワゴンに乗った豪華料理が目に飛び込んできた。 「ふーなーもーりー!」  仲居さんが笑うくらい、目を輝かせてしまった。  机の前にちょこんと正座すると、机に乗りきらないのではというような量の料理が、目の前に配膳されていった。 「歩き回った甲斐があった!」 「あはは」  写真に撮りたい……が、全力で我慢した――俺のきょうの夕飯は、コンビニということになっている。  そんな俺を察したのか、あきが、食卓の全貌を撮ってくれた。 「都合の悪い写真は全部撮ってあげるから。言って?」 「ありがと」  ちゃんとふたり旅だという思い出を残るのは、うれしい。 「ぷはー。ごちそうさまー」  1時間かけて、食べ切った。  食養旺盛なお年頃の俺でもギリギリの、すさまじい量。  いつの間にやら外は暗くなっていて、あきは日本酒を飲んでいる。  大人だなと思った。 「お酒、おいしい?」 「おいしいよ。深澄も大人になったら一緒に飲もうね」  あと2年ちょっと。まだまだ先は長いな。  酔ってはいないと言っていたけど、ほんのり赤いあきは、ちょっと色っぽい雰囲気があった。  そして、さっきから、いつ言い出そうかと悩んでいることがある。  この離れには、専用の露天風呂があるのだ。  窓の外でちょろちょろとお湯が流れているのを、チラチラと見てしまう。  まだ食べ終えたばかりだしあきは飲んでるし、まだいいんだけど……きっと、ふたりで入るためにこの部屋を選んでくれたはずで。 「ねえ、深澄」 「なに?」 「夕飯18:00って、早いと思ったでしょ?」 「ん……? うん、まあそうだね。俺予備校から帰って21:00くらいとかザラだし。なんで?」  あきは、目を細めて笑い、大きな机をぐるっと回って、俺の横に座った。 「お風呂入って、ゆっくりしたかったの。分かる?」  心臓がドキンと跳ねた。 「お酒の味するかも。キスしていい?」  ぎこちなくうなずく。  するとあきは、俺のTシャツの胸ぐらをつかむ勢いで体を引き寄せ、口をこじ開けて舌を入れてきた。 「んぁっ」  突然のことにびっくり……する間もないくらい、激しいキス。 「……っはぁ、んっ……」  かすかに、お酒の味がする。  酔ってないと言いつつ、こんな潤んだ目をしたあきは見たことがない。  あきは、俺のTシャツの中に手を入れてきた。 「ん、ぁ」  胸のあたりにそろそろと手を這わせて、俺の体温を高める。  ……と思いきや。 「よいしょ」  あきはぱっと口を離して、俺のTシャツを脱がせた。  ジーパンのファスナーにも手をかける。 「え、え?」 「お風呂入ろ」 「あ……うん」  このままされちゃうのかと思ってしまった俺は、死ぬほど恥ずかしかった。  けど、あきはそんな様子を楽しげに見ていて、「からかうの楽しい」と機嫌良さげに言った。  湯船にふたりで入ると、ザバーっとお湯が流れた。  縁に手をかけると、ひのきの良い香りがする。 「深澄、もっとこっち」 「うん」  体を寄せると、そのまま片手で腰を抱かれた。  「夜空の下で、いいお湯。そして可愛い深澄」  そう言って、キスをしてくる。  8月の猛暑のなか入る露天風呂は、気持ちいいけれど、すぐにのぼせてしまいそうだった。  こんな風に優しくキスされたら、なおさら。 「ダメだなあ。純粋にお湯を楽しみたいのに、目の前の誘惑が」  あきは、俺の首筋にくちびるを寄せた。俺は素直に、あきの背中に手を回す。 「ひざ立ちになって」  言われるがままにすると、腰から上が夜空にさらされた。  あきは俺の腰を抱いたまま、そっと乳首に口づけた。 「ん……」  いくら離れとはいえ、響くここで声を出すのはまずいと思う。  なのにあきは、容赦なくちゅうっと吸ったり、もう一方をこねたりつまんだり。 「はぁ、……は」  たまらず呼吸が荒くなる。  乳首をくりくりといじられながら上半身のあちこちにキスされると、気持ち良さに体をよじってしまう。 「ン、はぁ……っ、ぅ、あ……はぁっ」  お湯の中では既に俺の中心が固く反っている。  早く触って欲しくて、自然に腰が動く。 「深澄、可愛い」 「…はあ、ンッ……あ…」  太もも、お尻、自由になでられるけれど、肝心なところには触れてくれない。 「あ、き……、ぁ、やだ、……ん、はぁ」 「やだ?」 「……もう、がまん、…」 「ここ?」  太もものギリギリのところを触られる。  声も出せずに大きくうなずくと、あきは、乳首にキスしながら言った。 「可愛くおねだりして?」  泣きそうになりながら、小声でつぶやく。 「……あき、エッチなことして」 「かわい」  あきもひざ立ちになった。  力が抜けかけの俺を抱きすくめて長いキスをする。  遠くにはセミの鳴き声。顔に当たる、少し荒いあきの吐息。  これは現実かと、めまいがした。

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