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後からのお楽しみ(1)
付き合って数ヶ月になる恋人の由貴に、学校の帰りに家に遊びに来るよう誘われた。だけど、期待はしていない。
今までも何度か誘われてきたし「親が旅行でいないから、一人なんだ」なんて誘い文句はもちろんなく、ただ「スイカを食べにおいでよ」と言われただけだから。
どうやら近所のおばさんが、スイカがたくさんできたからと、お裾分けしてくれたらしい。
俺はわりとスイカは好きだし、帰り道できっと汗だくになっているから、縁側にでも座って扇風機の風を受けながら冷えたスイカを食べるのは悪くないと、それはそれで楽しみだけれど。
それでも心のどこかで、もしかして? という都合の良い思考が働いてる。由貴の両親は共働きで帰りが遅いから、スイカを食べ終わった後もしばらくは二人きりなはず。
食べ終わって、じゃあまた明日って、あっさり別れるのはもったいない。付き合ってそこそこは経ったんだ。キスをして、それからほんの少しでも由貴の体に触れたい。服の上からだけでもいいから、……いや、服の上からでも一度触れてしまえばやっぱり最後までしたくなる。由貴を前にして、途中でやめることなんかできない。
それならばもう、最初から何もかも我慢して、スイカのことだけ考えるしかないのだろうか。
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