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後からのお楽しみ(3)

「大地! 何してんの?」 「……え?」 「え? じゃないよ。いつまで玄関にいるの? 早く上がって、スイカ切って。俺、スイカ切るの無理。大きくてできない」 包丁を持った由貴が、ドアからひょこりと顔を出してそう言った。……恥ずかしい。変なことを考えていたせいで、玄関で突っ立ってたままだった。 慌てて脱ぎかけていた靴を脱ぎ、部屋へと上がる。   「どのくらい食べる?」 「二人で半分は食べよ」 「……そんなに?」 「うん。スイカめっちゃ好き」 けっこうな大きさだけど、そんな小さな体に入るか? と思いながら、由貴から包丁を受け取った。 ぐっと力を入れてスイカを切れば、よくそんな力があるねって、由貴が俺の腕をツンツンと触る。……ちょっと待って、今はそういう軽いお触りも禁止! 「そう? 由貴が力ないだけじゃない?」 「えぇー、俺もそこそこはあるよ」 「はいはい。お皿、出して」 「もーう」 由貴が離れるとすぐに、俺はスイカを全て切り終えた。切ってる時に集中力切れたら危ないからね。スイカ、不安定だし。 それから置かれた皿に急いでスイカを並べ、縁側へと運ぶ。   由貴は俺の後ろをトコトコと付いてくると、ぴたりと横に座ってきた。 あぁだから、それもダメだってば。 「由貴、」 「ん?」 「いや、何でもない」 今日は早いとこ帰った方が良いかもしれないな。俺、何するか分からない。

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