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第4話【春松鷹と上林綾は冬休みを迎える】

 制服を着せてくれる春松を見上げながら、上林は笑みを向けた。 「春松。ゴム、僕が家で処理しておこうか?」  突飛な提案に、春松は目を丸くする。当り前だ。  しかし、春松が驚くことは計算済み。自分の収集癖を露呈させないよう、上林は考えていた【それらしい】理由を口にした。 「春松のお父さんとお母さんはさ、きっと【そういうの】を見つけたら、色々と言ってくるでしょ?」 「それは、確かに否めないが。……お前は、どうなんだ」 「ふふっ。実は僕、一回も家族にゴムが見つかったことないんだ~」 「凄いな」  上林を制服に着替えさせた後、春松は私服に着替えながら相槌を打つ。  その間に帰り支度を進める上林は、使用済みのコンドームと外側の袋を回収した。 「……ねぇ、春松。冬休みの間、春松はおじいちゃんおばあちゃんの家に行くんだよね?」 「あぁ」 「その後──家に帰ってきたら、毎日僕と会ってくれる?」  私服に着替えた春松を見上げた後、上林は甘えるように抱き付く。そんな上林の頭を、春松が撫でた。 「当然だ。連絡だって、毎日する」 「ほんと? 僕、春松の写真も欲しいな。ねぇねぇ、僕も送るから春松も送ってよ?」 「…………善処する」 「やった!」  パッと笑みを浮かべた上林は、そのままもう一度春松に強く抱き付く。  正直に言えば、冬休みの間に春松の私物が欠片程度も収集できないのは辛い。  けれど、写真が貰えるのなら。心の中で『我慢しなくちゃね』と呟いた後、上林は春松に笑顔を向けた。  冬休みの間に、フォトアルバムを買いに行こう。そう上林が決心したことなんて知らず、春松は甘える恋人にキスをした。

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