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極道とウサギの甘いその後5-2

「りゅ、竜次郎、こんな…、い、いいの…?」  襖が閉まるなり伸びてきた手を拒むことはできず、湊は躊躇いがちに聞く。 「うちが襲撃されたわけでもねえし、現状できることはねえんだから、いいんだよ」 「そうなの…かな?」  現時点では中尾も恐らく無事(八重崎のことだから、すぐに中尾の所在と安否は確かめているだろう)なわけで、それならばいいかとつい流されそうになってしまう。  しかし、八重崎が深夜にわざわざ知らせてきたということは、松平組にも関係があるからではないか。 「ん…っ、竜次郎は、誰がやったか見当はついてるの…?」 「あー、前にうちのシマでドラッグを売ってる奴がいた件があったろ。あん時少し話したと思うが、あの黒幕が一番臭いと思ってる」  白木組という、松平組に何かと絡んでくる組があって、そこに危ない人物がいるという話は覚えている。  以前のドラッグの件が予兆で、本格的に動き出したということなのか。  だとしても、八重崎によれば襲撃したのは一般人とのことだった。白木組の指示だとすると、何故自分の組の人間を使わなかったのだろうか。疑問は尽きない。 「っ…、中尾さんも、狙われてるのかな…」 「…どうだろうな。最近オルカとは揉めてねえから、手ェ組んでると思われて、戦力削ぐためにやったとかな」 「そうだったら、中尾さんはとばっちり…だね、あっ!」  緩やかに身体を辿っていた手に、突然きゅっと強く胸の先を摘まれて、高い声が出た。 「中尾の心配をしてるなんて余裕だな」  低く耳元で囁かれると、ぞくりと腰のあたりが慄く。  逃げるように首を竦めると、体重をかけられそのまま布団に押し倒される。 「りゅ、竜次郎……、」  見上げた竜次郎は、悪そうな顔で口角を上げた。  話をしている間に服は全て脱がされてしまっている。  竜次郎は湊の腰を膝の上に引き寄せると、割り開いた場所に潤滑用のジェルを垂らした。 「あっ……!」  冷たさを感じたのも束の間、ぬるりと指が入り込んできて、ジェルを塗り広げるように器用に蠢く。  毎晩たっぷり愛されている湊の身体は、増やされる指を意識せずとも悦んで受け入れた。 「お前は、俺のことだけ考えてろ」 「んっ…、いつも、考えてる…、よ?」 「…足んねえんだよ」  唸るように言って湊の腰を抱えなおすと、竜次郎は解した場所に自身を埋め込む。 「あ…っ!」  熱いものに貫かれて、湊はシーツを手繰った。  押し込む動きは強引だが、しかし乱暴ではない。  最奥まで征服されると、苦しいのに、竜次郎と繋がっているという安堵感が身を包んだ。 「は、…っ、りゅう、じろ…、」  もっと竜次郎を感じたくて、動いて欲しいと強請ろうとしたその時。  ピリリリリリ、という電子音が部屋に響いた。  突然のことで驚いてしまったが、この着信音は、組からの…主に日守からの連絡だ。  事務所の方で何かあったのかもしれない。  だが、竜次郎は布団の脇に脱ぎ捨ててある上着の中を探ることもせず、行為を続けようとしている。  一度切れても再び鳴り始める電子音に、湊の方はとても続けようという気持ちになれそうもなくて、竜次郎の足を軽くたたいて、出るように促した。 「き、緊急の連絡かもよ?俺は、大丈夫だから…」  わかったよと舌打ちした竜次郎は腕を伸ばし、スマホを手に取って通話を始める。 「(え……待って、このまま……?)」  竜次郎のものは、湊の中に入ったままだ。  湊の「大丈夫だから」というのは、行為を中断してもいいという意味であって、この状態のまま電話に出てくれという意味ではなかったのだが。 「おい日守、お前わかっててかけてんじゃねえだろうな」 「……!?っ……!」  しかも、通話中だというのに、竜次郎は緩慢な動きで抜き差しを繰り返す。  声が漏れそうになり、湊は慌てて口を押さえた。  抗議の視線を向けるが、竜次郎の方は知らん顔をして話をしている。  徐々に動きが早まり、湊は涙目で首を振った。 「(む、無理…!)」  早く通話を終えて欲しいと思うのに、なんだか揉めているようでなかなか終わらない。 「ああ?ふざけんな、こんな時間に非常識すぎんだろ。追い払」 『てめえ竜!ガキまで使ってオフィス襲わせてなんのつもりだコラ!さっさとツラ出せ!』  スピーカーでもないのに、大きな声が部屋中に響き渡った。  竜次郎は眉を顰めて耳からスマホを離している。  どうやら、中尾が事務所に来てしまって、持て余した日守が連絡をしてきたらしい。 「うるっせえな。なんで俺がそんな一文の得にもならねえことしなきゃいけねえんだよ」 『襲撃直後に連絡できる奴は犯人以外いねえだろ』 「犯人だったら尚更わざわざ知らせねえだろうが。俺も勝手にイニシャルを使用されたんだよ。よく考えてみろ、ありとあらゆる情報を入手出来て、俺を装ってお前に連絡できるような奴の心当たりが、お前にもあるんじゃねえか?」  中尾は一瞬、静かになった。そして。 『八重子、あの野郎!』  怒り心頭に発した。  流石は八重崎、規格外の情報を扱う存在として、中尾の心にもしっかり刻まれているようだ。 『おい竜、あのガキの連絡先を教えろ!』 「湊、お前知ってるか?」  突然話を振られて、ふるふると首を振った。  もちろん連絡は取れる。けれど勝手に教えることはできないし、今はそれどころではない。  こんな話をしている間にも竜次郎は会話の隙を縫って奥を突いてきたりするので、声を抑えるのに必死だ。 「とにかく、見当違いだ。帰れ」  本当にもう無理、と泣きが入りかけた頃、竜次郎はようやく電話を切った。  常日頃は竜次郎のしたいことは何でもして欲しいと思っている湊だが、流石に抗議する。 「りゅう、じろ……、こんな、いれた、まま、」 「あー、声出さねえようにしてるお前が可愛いすぎてマジでやばかった」  涼しい顔で中尾と話しながら、そんなことを考えてたなんて。 「もう…、聞こえちゃったら、お互い気まずいでしょ…」 「こんな時間に事務所まで押しかけてくる方が悪いんだから、いいんだよ」  言い放った竜次郎は湊の腰を抱えなおすと、本格的な抽挿を再開した。 「あっ!」  結合部で卑猥な音が立ち、眼前がちかちかと眩む。 「…ま、お前の可愛い声を聞かせてやる気はねえけど、な…」  同時に、蜜を垂らして震える性器の先端をぐりぐりと弄られて、急激な快感の高まりに、そこから透明な液体が迸った。 「ぁ、ゃあ…っ」 「湊お前、ほんっとエロい…」  ぐんと質量を増したもので、体重を乗せて激しく責め立てられる。  湊はもはや何も考えることはできず、いつもの二人の夜は更けていくのであった…。

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