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第13話 3回目で初めてのこと

 シャワーも一緒に浴びた。何度もキスをしながら。エリスの体を見るのも、自分の体を見られるのも恥ずかしかった。それでも、愛しさに任せて互いに触れ合う。エリスの白い体はしなやかで、でも少しは鍛えているのか肉付きもあって、同じ男としても色っぽいと思った。  エリスは何度も「ユウキ」と甘えるように名前を呼んでくれた。そんな彼を連れて、ベッドに入る。  白いシーツの上に、金色の髪が広がる。薄暗くした照明の下でも、エリスの体の白さはわかる。そっと手を這わせるだけで、胸の鼓動が高まってしかたない。エリスが、期待をしているのかうっとりと勇気を見上げている。 「……エル、俺……」 「ん」 「俺、……男とするの、初めてなんだ……だから、上手くできるか、わからない……」  素直にそう告げると、エリスはクスリと笑って、勇気の頬を撫でる。 「ユウキ、ガンバロ?」 「う」 「ガンバったら、ゴホウビ、あげる」  夕方に言ったことを、言い返されたような気がする。顔が赤くなるのを感じて、勇気は照れ臭くなってまたエリスにキスをする。 「ご褒美って、何、くれるの?」 「ん、ヨシヨシ、する」  ヨシ、ヨシ。そう言いながら、エリスが勇気の髪を撫でてくる。まだ何もしてないだろ、と苦笑して、エリスの首筋に顔を埋めた。  ちゅ、と柔らかな肌を吸う。ア、と微かな声が耳に届く、透き通るような白い肌に、僅かに赤い痕が残る。全てがたまらない。酔ってもないのにこんな事をしているんだと思うと、興奮が高まってくる。  何度もキスを落としながら、エリスの体を愛撫する。「何処がいいのか、嫌なのか、教えてくれるか?」と聞きながら、胸に舌を這わせる。控え目なピンク色の乳首に辿り着くと、そろりと周辺を舐めてから、ちゅ、とその頂きを吸い上げる。 「んん」  エリスが身を捩る。「痛い?」と尋ねたが、エリスは「ううん」と首を横に振るから、何度も続ける。反対の乳首には指を這わせて、カリカリと軽く引っ掻くようにすると、次第にそれがはっきりとした形を持ってくる。  ぷくりと膨らんだそれは女のそこと同じようで、吸い上げ、舌で転がし、押し潰して楽しむと、エリスが勇気の髪に触れる。制止かと思って視線だけでエリスを見ると、彼はうっとりと眼を閉じ、頬を赤らめて受け入れている。  気持ちいいんだ。そう思うと、勇気の下半身もカッと熱くなるような気がして、たまらない気持ちになった。もっと気持ちよくしてやりたい、と思う。エリスの乳首を指でクリクリと摘み上げ、舐めている方はちゅうと強く吸い上げる。 「ぁ、ア」  ビク、と震えてエリスが声を漏らす。可愛い、愛しい。何度も強弱をつけて繰り返すと、その度身体を震わせて反応してくれる。いつの間にやらエリスの体がしっとりと汗ばみ、僅かに赤みがさしてきて、それがまた勇気を煽る。  そろりそろりと、手を下ろしていく。エリスの性器に触れると、彼は「アッ」と勇気を見た。興奮で濡れた瞳が、勇気を困ったように見つめている。 「ゆ、ユウキ」 「触っちゃ、ダメか?」 「……あ、あのね、ユウキ、あの」  エリスが珍しく言い淀んでいる。何? と優しく促し、言葉を待つと、彼は「あー……」と言葉を探しながら、言った。 「あのね、私、練習した、でも、上手くできるか、わからない」 「ん?」 「だから、また、うるさかったら、とめて、いいから」 「……喘ぎ声のこと?」  尋ねると、エリスがこくんと頷く。天才が何の練習してんだよ、と勇気は半分呆れて、半分興奮した。勇気に愛されたいばかりに、この仔犬は鳴き方を練習したのだ。何を参考にしたのかは、とりあえず今は聞くまい。 「……気持ち良くなると、素が出ちゃいそう?」 「ん」 「でも演技で喘いでるのも、ちょっとな……」 「ううん、ちゃんと、気持ちいい、よ? ユウキ、いつも、激しい、でも、優しい」 「……待って、めちゃくちゃ恥ずかしい」  ここまでもかなり恥ずかしかったが、改めてそう言われるとますます恥ずかしい。これまでの酔った自分が、エリスに何をしたのか、知りたいような知りたくないような。複雑な心境でいると、「ユウキ」とエリスが言う。 「私も、恥ずかしい、よ……?」 「……エル」 「ユウキに、全部、見せるの、恥ずかしい、でも、ユウキと、したい。私、ユウキの、オヨメサンになりたい」  このオヨメサンが何を指しているのか、勇気には正確なことがわからない。ただ、今それを言うということは、そういう事なんだろうと思った。そしてまた勇気は顔が熱くなるのを感じる。  本当に、これからエルとそういう事をするんだ、と。 「ユウキ、あのね」 「ん」 「そこに、有るから、使って」  エリスがベッドサイドの引き出しを指差す。何を、使えというのか。大方の予想はついた。勇気はごくりと喉を鳴らして、エル、と名を呼ぶ。エリスも、顔を真っ赤にして、恥ずかしそうにしていた。 「いつも、ユウキ、激しかったから、今日、私も、恥ずかしい……」  いつもは流されている間に抱かれていたという事だろうか? 酒に酔った自分はどれだけオレ様だったんだろう……と考えながら、勇気はエリスに口付けを落として、ベッドサイドの引き出しへと手を伸ばした。

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