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第27話 確認
「ユウキ、ユウキぃ、……ッ」
息も絶え絶えに、エリスが勇気の名前を呼んでいる。
「ユウキ、も、やだ……っ」
涙で瞳を濡らしながら、エリスが首を振る。それはそのままの意味ではないことぐらい勇気にもわかる。三本目の指を受け入れさせて、どれほど可愛がったろう。弱いところをいじめられるのが堪らないらしく、いつになく声を漏らし身悶えしていたエリスが、ついに根を上げて、続きを求めてきたのだ。
「エル、もう大丈夫そう?」
指をバラバラに動かしてそこを押したり、ぐいぐいと抽送するようにしたりしながら尋ねると、エリスは「あっ、あ」と喘ぎながらも、途切れ途切れに「も、だいじょ、ぶ、だから、」と訴えてくる。
「つづき、して……」
切ない声でそうおねだりをしてきたエリスに、勇気もそろそろ忍耐力の限界がきていた。勇気だって男だ。トロトロにほぐれたソコを欲望のままに犯したい気持ちは有った。それでも、今日はとことんエリスを気持ちよくするのが主題だから、勇気は懸命に耐えてきたのだ。
前立腺を執拗に責められて、エリスはすっかり蕩けてしまっていた。演技だったら末恐ろしいほどだ。未だに触れていないエリスの中心は濡れそぼっている。健気にも、エリスは自分でそれに触れようとはしなかった。だからこそ、続きが欲しいのだ。もう、楽になりたいのだろう。ただ、エリスにはそれを適切に表現する方法が無いのかもしれない。
「なあ、エル……。俺のでさ、ココ、突いたら……」
「あっ、あ、ア」
くいくい、とソコを三本の指で突くように動かすと、エリスが悲鳴を上げて眉を寄せる。
「すごく気持ちいいと思う?」
「……ぅ、……おもう……」
エリスは素直に頷いた。怖くない? と尋ねると、チョット、と小さな声で答えたあとで、でも、と続ける。
「も、ほしいの、ユウキ……」
おねがい、ゆるして? 意味がわかっているのか、何かの見よう見まねで言っているのか定かではないが、エリスは懸命におねだりを重ねている。可愛い、と勇気はそれだけ感じて、それから一つ溜息を吐いて指をゆっくりと抜いていく。
「あぅ、う、んん……っ」
どうやらその感覚も好きなようだ。腰が戦慄くのを撫でてやりながら、指を抜ききると、代わりに自分のモノを押し当てる。もう勇気も我慢の限界だ。入るよ、と囁いて、ユウキ、と名を呼ぶ彼の熱い内部へと押し入っていく。
「あ、ぁあ、ア、……ッ、ぅ、」
ゆっくり、ゆっくり、焦らず。欲望が暴走しそうになるのを懸命に抑えて、勇気はエリスの胎内に己の熱を収めていく。やがて最奥まで辿り着くと、そのままエリスのことを抱きしめ、慣れるのを待った。散々時間をかけて愛したとはいえ、やはり質量の違うモノを挿入しているのだから、しっかりと時間をかけなければいけない。ここで焦ってはダメだ。ユウキは絡みついてくる熱い肉壁に意識を持っていかれそうになりながら、ぎゅっとエリスを抱きしめていた。
エリスの方も、浅く呼吸を繰り返しながら、勇気の体を愛しげに撫でている。それでいて、やはり自分でしたりはしないのだから、愛らしいものだ。しばらくして、勇気はゆっくりと腰を引いて、指で見つけたあの場所を探す。
「ぅ、……う、ぁ、……っ」
漏れる声は少し苦しげで心配になるが、痛いとも言わないので、優しく続けていく。少しの時間をかけて、ようやくその場所を見つけ出した。
「あ、ア?!」
それまでと明らかに違う声で、エリスが鳴いたのだ。
「エル」
「……ゆ、うき、待って、あのね、あの、待って……!」
「なに?」
「今の、チョット、ダメ、私、おかしい……っ」
未知の快楽に怯える恋人の訴えに、勇気は遂に我慢の限界に達した。
「ぁ、あ、ア! ダメ、ダメだよぉ、ユウキ……ッ」
ぐいぐいと、ソコを小刻みに突くように揺さぶると、エリスが白い身体を仰け反らせて身悶える。細長い指が耐えるようにシーツを掴んでいて、乱れた金色の髪が流れている。全てが勇気を煽った。
「ひっ、ぃ、い、……っ、あ、ぁっ、あーっ、ダメ、ユウキ、ぃ、〜〜っ!」
制止に耳を貸さず、執拗にソコを責め続ける。悲鳴は切羽詰まって泣き出しそうな声に変わっていく。逃げる腰ともがく身体を押さえ込んで揺さぶれば、ユウキ、と名を呼んでその手が勇気の腕や背に回される。ぎゅう、と力強く握られるのが、おねだりなのか、懇願なのかもわからない。涙をこぼし、あられもない声を上げて首を振るエリスに、どこまでも、どこまでも快感を叩き込む。
「やだ、ぁ、っ、や、ユウキ、おかしく、なっ、ちゃ、……っ、あ、ぁ、ア?! あ、ダメ、ダメェ……ッ!」
それまで放置していた、濡れそぼったエリスのソレも擦ってやると、彼は髪を振り乱して鳴き、喘ぎながら、何事か聞き取れない言葉を吐き出して。
「ーーッ!」
「ぅ、……っ!」
それからびくびくと、身を仰け反らせて、絶頂を迎えた。ガクガク震える体を強く抱きしめて、勇気もその締め付けに身を任せて欲望を吐き出す。
「ぁ……あ、……、ぁ、……っ」
カタカタと震えながら、長い長い絶頂に身を任せているエリスを愛しげに撫でながら、勇気は、目を閉じた。
さっきのが、ニュートラルな喘ぎ声なのかな……。
結局、それから二人はもう一度抱き合った。結論から言えば、エリスの喘ぎ声はジーザスではなかったし、それほど煩くはなかった。
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