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恋人になろう 2
「明石、君?」
真田の呟きに、豊島は男を見る。すると、
「ナイフなんて危ないでしょうがっ!」
興奮気味に怒鳴りつけ、そして、そのまま地面にへたり込んだ。
「潮君、大丈夫?」
「大丈夫なわけないでしょっ。こういう時に颯爽と現れて悪者を退治するのが王子様でしょうが」
と、後から現れた、やたらきらきらとした男に怒鳴りつけた。
何のことだろうか、それは。疑問に思いながら真田を見れば、おもいきり吹いた。
「ぶはっ、その通りだよなぁ、明石君」
ゲラゲラと笑い、膝を叩く。豊島はなんのことだかわからないのでポカンとしたままだ。
「いや、無理だからね。ナイフを持ってる相手に立ち向かうのは」
笑いすぎて涙を浮かべている真田に、
「真田、そろそろ紹介してよ」
といえば、そうだったと紹介をしはじめる。
「このイケメンは俺の友達の樋山。で、勇敢な彼はこいつの恋人の明石君」
真田が言っていたのは彼らだったのか。
「で、この子が俺の恋人の 豊島ね」
話をしている途中、秋庭はいつの間にか姿を消していた。
何か言い争うをしていると急いで待ち合わせの場所へと向かい、ナイフを見た瞬間にブチ切れたそうだ。
自分でもこんな行動にでるとは思わなかったそうで、ようやく落ち着いた潮がそう話した。
「明石君のおかげで助かったよ。ありがとう」
と手を握りしめると、潮が珍しく照れている。
「ちょっと潮君、何、その反応」
樋山が嫉妬している。
「え、綺麗だし」
「く、あははは、明石君もやっぱり美人には弱いのね」
と再び楽しそうに笑っている。
高校生の時もだ。楽しいことがあると今見たく笑っていた。かっこいいだけでなく周りを明るくする人だなと思っていた。
「ふふっ」
昔と変わらないなと思い出していたら、三人がこちらを見ていた。
「え、どうしたの?」
いきなり笑ったからだろうか。
「うん、潮君が惚けるのも無理ないか」
「だろ、成は綺麗だからな」
「そうですね」
と言われて、顔が熱くなる。
「やめてよぉ」
恥ずかしくて頬に手を当てると、真田の腕が腰へと回る。
「さ、飯食いに行くぞ」
「うん」
樋山と潮が前を歩き、真田と豊島はゆっくりと後に続く。
「ねぇ、真田」
彼を見上げて手招きをすると、
「なんだ?」
前にかがみこみ顔を近づける。その頬に手を添えると、真田の唇に軽く口づけた。
「成っ」
いきなりのことに驚き、声が裏返る。
「大好きだよ、真田。俺の恋人になってください」
こんなに想っているのに、まだ伝えていなかった言葉。
「大切なことを忘れていたな、俺たち」
「うん」
真田の腕が豊島の身体を抱きしめる。
「あぁ、喜んで」
その答えに笑顔を向けると、樋山と潮がおめでとうと言ってくれる。
「ありがとう」
そして、真田からの口づけに、樋山がヒューと口笛を吹く。
「いちゃつくのは後にしてください」
外ですよと潮の声に、二人は顔を合わせて笑った。
<了>
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