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その後のいじわる社長と愛されバンビ17

 予想外の行動だったのか、体勢の逆転には成功した。  軽く驚きの表情を浮かべる久世を見下ろすのは、少しいい気分だ。  もっとも、全裸で恋人に跨がっているという己の現状は、うっかり意識してしまうと叫びだしそうなくらい恥ずかしい。  何ならただ身を任せているよりも恥ずかしいのではないだろうか。  何故そんなセルフ拷問のような真似をしてしまったのだろうと後悔しても、時は巻き戻せない。 「積極的だな」 「っ………、」  押し倒しておきながら狼狽えている万里の内心などお見通しの久世にからかうように笑われて、むっとする。  黙ってろと怒る代わりに、唇に噛みついてやった。  いつまでもバンビちゃんなんて呼ばせない。 「ん…っ」  舌を差し入れ、口内を舐めると、すかさず伸びてきた舌に捕まり、きゅっときつく吸われて力が抜けそうになって焦った。  反撃しようとするも、脚をいやらしく撫でられてぞくりと背筋が慄く。  分の悪さを感じ、不埒な手から逃げるようにずり下がって、久世のベルトに手をかけた。  前を寛げ目的のものを取り出すと、反応していることはわかっていたが、改めてその熱さに驚く。  握っていると、手すらも性感帯になってしまったのか、怪しい下腹の疼きを覚えて万里は動揺した。 「無理はしなくていいぞ」 「べ、つに、全然」  これだけ反応していても、久世は相変わらず余裕の表情だ。  その澄ました顔を崩してやりたくて、平気な振りで手の中のものに口を付けた。  そのまま浮き出た血管を舌で辿り、先端に辿り着くと咥えてみる。 「っ………」  微かな吐息が聞こえて見上げると、もっとしてくれと続きを促されたので、もう少し深く咥えて唇で扱いてみた。 「んっ……んんっ、ん、」  想像していたよりも苦しくて驚く。  久世のものが大きいからと、羞恥や興奮などのせいでもともと呼吸が浅くなっているからというのもあるだろう。  それでもその苦しさから逃れたいと思わないのが不思議だった。  相手の反応を見て楽しむほどの余裕はないが、頭がぼうっとしてきて熱心に舌を絡めてしゃぶってしまう。 「ふ……中々上手じゃないか」  身を起こした気配がして、伸びてきた手に頭を撫でられた。  褒められて悪い気分ではないが、やはり子供扱いのような気がする。 「っ……俺だって、これくらいは……、」 「でも、どうせなら一緒に気持ちよくなりたいな」 「は?って、ちょっ……」  どういう意味だと問い返す間もなく腰を掴まれ、誘導された格好に万里は真っ赤になった。 「こ、これ、……っ」  互いの性器を間近に拝む体位、所謂シックスナインというやつである。 「続きを頼む」 「や、み、ひゃっ」  やめろとか見るなとかいう文句は、言葉にならずに悲鳴に変わった。 「っあ!や、っ……、そ、~~~~っ」  狭間に息がかかったかと思うと、ぐっと舌をねじ込まれて、ビクンと体が跳ねる。  逃げようとしてもがっちりホールドされていて逃れられず、力も抜けてしまって久世のものを掴んでへたり込むばかりになってしまう。 「ん、お前もしてくれないのか?」 「っ……………」  むっとして、続きをしようとするが、潤った場所へ指を差しこまれて再び沈んだ。 「や、中……したら、」 「どうした?『俺だってこのくらいは』?」 「~~~~~~~!」  相変わらずこの男は意地が悪い。  反抗を続けたくても、ずっと乳首を弄られ、その後の口淫でも興奮していたからか、内壁が喜ぶように久世の指を食んでいるのがわかる。  限界だった。 「っや、も、そこ、……っい、」  ぐっと一番感じる場所を押された瞬間、万里は腰を震わせ、久世の身体を汚していた。

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