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さらにその後のいじわる社長と愛されバンビ24

「恋人に腹立つって言われて、少しは焦ったりとかないんですかね」 「うーん…俺のこと大好きって顔して言われても、告白にしか聞こえなくてなあ…」 「×◇%#☆¥*!?」  そんな顔は断じてしていない。  ただの希望的観測だと言ってやりたい。  しかし、動揺のあまり言葉にならなかった。 「…で、続きは?」  促されて、ものすごく間抜けな格好で抱き合っていたことに気付く。  叫びそうになるが、ここは恥ずかしがったら負け(?)だ。逃げ出したい気持ちでいっぱいの自分を戒める。 「俺がかわりにしてやろうか?」 「ゃ……自分で、する」  中断した行為に焦れた様子でも見せればかわいげがあるのに。  余裕の笑みを浮かべる久世を憎く思いつつ、ひとつ首を振った万里は震える指をもう一度後ろに伸ばした。 「じゃあ、い、…挿れる、から」  「早くないか?」 「平気……、」  あまりうまくできたとは言い難いが、最終的に挿れて動かれせればいいのだ。  自ら久世を受け入れるのは初めてではないので、要領はわかっている。  呼吸を整えると位置を調節し、腰を落とした。 「あっ、んっ……、く、」  太いものに狭い場所を圧迫されるのは、苦しい。  痛いのはもちろん嫌だ。ただ、あまり気持ちがいいと逆に動けなくなってしまいそうで、今は少しくらい大変な方がいいと思った。 「っは……、きついな」  己の体感よりも、久世の快楽に耐える表情の方が刺激が強い。  もっと夢中にさせたいという欲が出て、喉が鳴った。 「ん……、ぜ、全部、…」 「…ふ、上手く挿れられるようになったな」 「っは…、お、俺だって、成長します、から…っ」  これくらい余裕、と笑って言ってやりたかったのに、息が弾む。 「俺が、動く…から、怪我人は、じっとしてて…」 「それじゃあお言葉に甘えて、恋人の奮闘をじっくり鑑賞させてもらうとするか」 「そ、そういうことは、言わなくていい……っ、」  折角恥死しないよう無心に頑張っているのだから、水を差さないで欲しい。  腹に手をついて、足に力を入れる。  ちらりと視界をかすめる己のものは、既に再び存在を主張していて、この状況でも感じているのが一目瞭然で恥ずかしい。 「は、……っん、ぁ、……っ」  久世の反応を確認しながら、相手を気持ちよくしようと頑張っていたのに。 「あ!そこ、触っ……、だめ、」  久世の怪我をしていない方の手が伸びてきて、胸の先端をきゅっと摘まむ。  途端に、痛いような、疼くような快感が走って身を捩った。 「もっと、お前のかわいい姿が見たくてな」 「や、できなくな……から、っやぁ、あ!あッ…、」  更に下から突き上げられて、避けていた感じる場所を抉られて高い声が上がる。  何度かからかうように突き上げられると、足に力が入らなくなり、かくんと体を支えていた腕が折れた。 「待っ、んっ…そんな、…や、じっとしろって」  勝手に動くなと睨んでも、久世は楽しそうに笑っている。 「お言葉に甘えるとは言ったが、じっとしてる期限は決めなかっただろ」 「も、……っ」  本当に、この男は!  久世も万里の緩慢な動きでは満足できなくなったのか、すぐに動きが激しくなり、文句を言うどころかしがみついているしかできなくなる。 「っあ!」  奥を深く抉られ、腰が弾んだ。  快楽が身体中を満たし、目の前が霞んでわけがわからなくなる。 「ふぁ、っん、あっあ!っぁ……!」 「っく……、」  奥に注がれた時には、万里も達していた。  急速に昂みに持っていかれ、乱れた息のまま半分放心状態で突っ伏していると、耳元で甘く囁かれる。 「万里…好きだぞ」 「っ………、」  珍しいストレートな告白にも、弄ばれた感しかない万里は、素直に「俺も……」なんて言えずに、真っ赤な顔でぺちんと力なく、憎い男の胸元を叩いた。

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