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うちゅう
「ありがとう、夜彦」
僕はにこりと微笑む。
「いつでも貸して差し上げましょう。このたぷ……はっ!」
「じぶんでいうてもうた!」
真っ赤になった顔を両手で隠す夜彦と突っ込んだ真昼、そして甲高い声を上げて笑うようちゃん。
あの家に5人の兄がいたけど、全然違う。
兄弟がいるってこんなに楽しいんだと心から思えた
んだ。
話をしているうちに長いと思っていた道のりも終わりを告げようとしていた。
なんとなく淋しくなった僕は後ろを振り向いたんだけど、見たこともない景色が広がっていたんだ。
赤色の箱は僕らがさっきいた部屋
それを中心に
青色の中に緑の点がある箱
オレンジ色の箱
緑色の箱が回っていた。
「なんか、すごいね」
言葉の表現力がないのに、愕然とした僕。
「うちゅうっていうんやでぇ」
ふわふわした関西弁で言う方を向くと、真昼はふふんと鼻を鳴らす。
「う、ちゅう……?」
初めて聞いた言葉を僕は慎重に繰り返す。
「僕らがいた場所……俺の部屋を太陽として、青と緑は地球、オレンジは木星、緑は天王星なんだ。ゆーたんの部屋もきっと惑星の色になるよ」
ようちゃんが低い声でゆっくり優しく教えてくれた。
それで僕はやっと彼らの髪色の意味がわかった気がした。
ようちゃんは太陽、真昼は天王星、夜彦は木星だからなんだと。
その弟になる僕の色も惑星に関わる……それが彼らと繋がる証になるんだと。
でも、まずは宇宙そのものを勉強しなくちゃいけないって思ったんだ。
「水金地火木土天海、でございます。詳しいことはトトとカカに聞いた方がよろしいかと存じます」
天文学者でございますから、と夜彦は丁寧に語り、おほほほほと自慢気に笑った。
トトとカカ……きっと3人の両親なのだろう。
そして、僕の両親になる人にいづれかは会うのだから緊張してきた。
「大丈夫、きっと気に入ると思うよ」
その言葉と共にトントンと背中を叩いてくれたのはようちゃんだった。
この3人の親だから、信じよう。
僕は覚悟を決めて、残りの段を降りていった。
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