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第1話
日の出の時刻にはまだ早いだろうに、薄っぺらいカーテンの向こうがやけに明るい。天気予報は当たったようだ。
楠木一晴(くすのきいちはる)が温もりが心地良い布団から抜け出し、腕を交差させ身体をさすりながらカーテンを捲り外を覗くと、やはり外は一面の雪で、道路も、駐車場も、住宅の屋根も、地上にある全てが重々しい白い荷物を載せられていた。
「積もってる?」
そう、まだ半分寝ている声で最上柊太郎(もがみしゅうたろう)に聞かれて、彼に背中を向けていた一晴はこっそり噴き出した。彼の部屋に泊まった時の翌朝にしか聞けない、間抜けな声。
「積もってる積もってる。もうやんではいるけど、電車は止まってるだろうな」
「さむさむ」と言いつつ、一晴は爪先歩きで熱源のあるベッドへと戻った。布団を上げた瞬間、二人の体臭が混ざった匂いを濃く感じて、今更と思いつつ妙に照れ臭い気分になった。
シングルベッドは、男子高生二人で使うには狭すぎる。一晴は布団を顎の下まであげたが、ベッドの際側にある肩はマットレスからも掛け布団からも少しはみ出した。
「イチ、もっとこっち来いよ」
柊太郎に言われて、一晴は彼に背を向ける横向きの体勢に寝返りを打った。肩の方はマットレスの内側に収まったが、掛け布団の幅は更に足らなくなり、布団の端からスースーと冷たい空気が入り込んできた。
「ああーっ、ほらっ」
一晴が柊太郎に身体を密着させられ布団を掛け直されると、ようやく二人の身体はすっぽりと一枚の布団に収まった。
「狭い…」
「しょうがないだろ。俺んち、客用の布団なんてないし」
自分のものより高い体温、それから、背中から伝わる低い声の振動にも、言葉とは裏腹に、柊太郎から与えられるなにもかもに一晴はうっとりとした。
ついさっき窓の外を確認しようと布団から出る前まで、一晴は柊太郎に腕枕をされて眠っていた。昨晩は、いかがわしいあれやこれやの後、そのまま襲って来た眠気に身を任せ眠った。その間、一晴が柊太郎に密着した体勢になっていたのは無意識だった。だが、目が覚め一度布団から出て冷静になった後では、一晴は自分から柊太郎に身体を寄せることはできなかった。
若い体の欲を吐き出す為。そう理由を付けて柊太郎に触れることは出来たが、恋人同士として寄り添う事は、まだ覚悟を決めきれていない一晴にはできない。だというのに、柊太郎の方から近付いてもらうと、涙が出そうなほど安堵する。そうして、口では冷めたことばかり言ってしまう。
いつかは柊太郎も、一晴に触れてこなくなる日が来るだろう。ならば、いっそ一分一秒でも早く、その時が来て欲しいと一晴は思う。傷がまだ浅いうちに……もうとっくに手遅れな気もするけれど。
「なぁ」
頭では独りよがりな暗い考えを巡らせ、けれど体は背中で感じる恋人の温みで満たされて、どっちつかずで再びうとうとと眠りに落ちかけていた一晴の肩を、柊太郎がゆすった。
「んー…?」
「学校、行こうぜ」
「なんで?」
昨日、ホームルームで、未明に大雪という予報が出た為、翌日は休校だと言い渡された。
「一面雪でまっ白に覆われた校庭、独り占めしたくね?」
「…一人で独り占めしてくれば?」
「違う違う。二人占めしよ」
「やだよ、寒い。せっかく休みんなったのに、何でわざわざ」
「行こうぜ。昼近くになったらわかんないけど、今は絶対誰も来てないって」
柊太郎は一度言い出すと、人の反対意見をろくに聞かない。悪い癖だ、とは思うが、そういう所でさえ一晴は可愛く思えてしまっている。だがやはり、早朝の寒さの中、足元の悪い道を歩きたいとは一欠片も思えないし、昨夜のあれこれのお陰かまだまだ眠い。
「俺は寝てるわ」
「じゃあ言うけど、うちの食料、もう切れてる」
「……」
「出かけて学校のむこうのコンビニまで行かないと、永遠に飯なし」
大雪になることは予報でわかってたろう!事前にちゃんと準備しとけ!!という文句が頭に浮かんだが、だからといってそれでも一人で行ってこいと言える立場に一晴はいなかった。昨日、最後のカップ麺を消費したのは一晴だったからだ。
一晴は昨日の下校時と同じ服装で制服にダッフルコート、柊太郎は上はダウンジャケット下はデニムパンツという出で立ちで外に出ると、アパートの前の道は雪の上に人三人分と犬一匹ハト一羽分の足跡がついているだけで、あとは積もったきりの綺麗な雪面だった。
柊太郎が一人で暮らすアパートから毎日通う学校まで、距離は徒歩五分。途中、二回雪かきをする人を見かけ、そのうちの一人からの「積もりましたねぇ」に会釈を返したりなどしているうちに、目的地にはすぐ着いた。たった五分の道のりの間にも、二人のスニーカーは雪で湿った。とくに、柊太郎の方は帆布製のものだったから、足が冷たくなってはいないだろうかと一晴は気になった。
校門はどうせ閉まっているだろうからと、二人は最初から学校の裏の方に回った。北校舎の裏、自転車置き場の脇のフェンスに、生徒なら誰でも知る破れ目があった。学校側も認識してはいるのだろうが、場所がか弱い小中学生や女子高生でなく、むさ苦しい男子高生の学び舎である為か放置されていた。そんな暗黙に了解されている非正規の裏門から二人は無事、学校の敷地内侵入に成功した。
屋根に守られた自転車置き場の露出した地面から積雪量を目算で確かめつつ、一晴は柊太郎の後を足跡を踏み踏みついていった。校舎を回り込み中庭を通過して、敷地の南側を占有する校庭に着いた。
住宅地に籠っていれば見られなかった眼前に広がる巨大な平面の白にはしゃぐ柊太郎の横で、一晴は校庭を見渡せる場所に位置する南校舎一階の職員室が気になった。外からは暗くみえる他の教室と違い、そこだけ天井の蛍光灯が点いていた。
「こんな電車動いてない日にも、来てる先生いるんだ」
一晴の視線の先を辿った柊太郎が、暢気に言った。
「見つかったら、なんか言われるかもな」
「なんで?俺らここの生徒なのに?……ビビりだな」
憎たらしく笑われた一晴は反論しかけたが、すぐに言葉を飲み込んだ。
「そーだよ。ビビりだよ、俺は」
一晴は遅刻と無断欠席の常習者だ。その上、明け方までゲームをしているせいもあり、授業には出席してもぼんやりしていることが多い。だから、教師達の間で存在ているかどうかは定かではないが、ブラックリストというものがあれば、一晴は確実に名前が載っているような生徒だ。
柊太郎は違う。高校入学時から大学受験を意識しているし、放課後や休日のバイトの疲れもみせず授業も真面目に受けている。
柊太郎には、両親がいない。中学生の時に交通事故で同時に二親を失ったのだ。その後、隣県の伯父夫婦の家に一旦引き取られ、そして、高校入学と同時に元の住所に近いアパートに引っ越し、ひとり暮らしを始めた。柊太郎が以前、「伯父さんに迷惑かけたくないから、俺は浪人できない」と言っていたのを、一晴は憶えている。だから、自分はどうだっていいのだが、柊太郎が教師連に悪い印象を与える行動は避けたかった。
そんな一晴の心配をよそに、あくまでお気楽な柊太郎は何故か突如、雪の上に背中から倒れ込んだ。そうして倒れたきり、そのまま立ち上がってこなかった。
「おー、打ち所、悪かったか?」
「じゃないけど、以外と雪が浅くて、硬かった」
「当たり前だろ。降っても豪雪地帯って訳じゃないから」
「なー、イチも横になってみろよ」
「やだよ。冷たいんだろ?」
「それは、横になってみればわかる」
アホらしい。柊太郎を置いていってやろうかなどと思いながら、一晴しばらく立ったままでいたが、柊太郎がまったく動こうとする気配がないのに根負けし、彼が寝そべる横に腰を下ろすと雪面に背中を着けた。ザクリという雪の音に、確かにそれなりの雪の厚みはわかったが、やはり後頭部と背中には硬い地面を感じた。重力に任せて倒れた柊太郎は、かなり痛い思いをしたのでは?間抜けな奴めと呆れるより、少し心配になった。
「あんま、こういう風に空見ることないよなー」
柊太郎に言われ、一晴は視界に広がる曇り空を眺めた。普段、こんな曇りの日は、地上はそう明るくはならない。もっと、どんよりとしている。だが、今日は雪の反射のお陰で明るく、しかし、晴れの日の清々した明るさとは違う。ピントが合わずにぼんやりとしたような、少し違和感を感じる光。年に一、二度しか雪の積もらないこの土地では、やはり今日はとても珍しい日なのだと、一晴は改めて実感した。
「普段、空、見ないことも無いけど、わりと電線とか電柱とか建物の屋根とかも目に入ってくるじゃん。こうやって空だけ見えんのとか、あんまないよな」
「ん…、そうだな」
一晴は高く遠い上空の雲を観察した。明るい白と暗い白。その滲んだ境がゆっくりと移動していく。地上は凪いでいるが、空の方では風があるのだろうか。晴れている時ほどではないが、曇りであっても空は眩しい。一晴は光に弱い茶色い瞳を瞼を伏せて守った。そうすると、周りがとても静かなことに急に気が付いた。
日常生活では、かなりの音に囲まれている。生徒が集団で行動する学校の中は勿論、外でもエンジン音や、タイヤが道路をこする音、電車、どこかの誰かの生活音、音楽、サイレン、動物の鳴き声…。家の中にいても窓の外から音は届くし、室内にある電子機器だって微かに、だがしっかりと動作音を発生させている。
それが、今は静かだ。誰も彼もが大雪で家に引き籠っているからだし、居る場所が校庭のど真ん中で人家と距離があることも理由だが、なにより、今日に限っては雪が音を吸収しているからだろう。
雪と、空と、柊太郎。今、一晴が感じ取れるのはその三つだけだった。だが、柊太郎とはさっき話して以来もう数十秒か数分、口を利いていない。彼は、本当に一晴の一メートル離れた先にまだいるのだろうか?もうとっくに、彼は居なくなって、いま、この場にいるのは自分一人だけなのではないだろうか?柊太郎が立ち上がる音も聞いていないのに、そんな考えは馬鹿らしいと思いつつ、一晴は段々と不安になっていき、ついに堪らず背中を起こした。
「柊…」
横に寝ていた筈の柊太郎は一晴と同じ体勢で…顔の向きだけは逆で、一晴を見ていた。
「…なにしてんだよ?」
「急に、イチいなくなってたりしてって思って淋しくなったから、確認。そっちは?」
「俺は、そろそろ、コートに雪染みてきそうで嫌だったから」
一晴は修太郎に背を向けつつ立ち上がると、自分の背中の雪を払った。どうしてこう、柊太郎は素直で自分はそうはなれないのだろう。こんなことでは、今に彼は離れていくぞ。でも、いつか離れて行かれるのなら、剥き出しの気持ちなんて尚更見せられない。
一晴が脳みそを後ろ向きな考えでフル回転させていると、柊太郎が一晴の髪を撫でてきた。
「頭にも着いてるぞ」
払う、と言うのには優しい手つきだった。不思議だった。口が立ち毒舌気味でもある一晴だが、穏やかに柊太郎に触れられていると、徐々に文句もなにも出てこなくなり無口になってしまうのだ。こういうのを、「安心」と人は言うのだろうか。長らく、誰からも与えられていなかった感覚。柊太郎の指が髪から離れ、淋しいな、と思った時には、すぐに肩に腕を回されていた。
「重いって」
「寒いんだもん」
「『だもん』って、…」
どんな顔で言ったのか確認してやろう、そう思って間近にある顔を見た時には、もう唇が塞がれていた。一晴は、いつも柊太郎に言われる。「隙があり過ぎる」と。今回も、引っ掛かってしまったわけだ。昨日の夜にしたのと比べれば、あっさりとした、しかし、ふざけただけにしては長いキスを終えると、柊太郎はにっこり微笑んだ。
悪戯を成功させた、そういう顔ではない。亡くなった祖母が昔、自分に向けていたような、そして、且つては母もこういった表情を稀に見せていたような、そういった表情だ。柊太郎はこういう時…キスの後や、話の途中、待ち合わせで顔合わせた時のふとした瞬間、そういう顔をする。そういった時の柊太郎の笑顔はやけに美しい。
元々、柊太郎の顔は一晴の好みだ。普段は身なりに無頓着なのと無駄なオーバーリアクションのせいで顔の美点が隠され気味だが、彼が寝ている時、形の良い鼻や、立体感のある瞼、整った眉毛、しっかりとした唇などをこっそり見ていると、共学の学校に行っていれば、さぞやモテだろうと少し気の毒に思うくらいだ。
ただ、一晴は柊太郎の曇りのない笑顔…無意識の愛情でいっぱいの顔に関しては、いつだって、受け止めきれず、まともに見ることができない。そうして、今日も一晴は、居場所がないような気分になって顔をそらした。だが、その途端、柊太郎は「イチーッ!!愛してるーっ!!」と雪一面の校庭で叫んだ。
柊太郎はたまに…いや、それなりに頻繁に、ちょっとした奇行に走る。具体的な内容としては、唐突に大きな声で宣言してくる。「俺はやってやるーっ!」とか、「負けてたまるかーっ!」とか、TPOは考慮しているようだが、まぁまぁ宣言してくる。友達になりたての時には、一晴もなんなんだこいつと呆れて見ていたが、柊太郎を知るにつれ、それらは彼が自分自身を鼓舞し励ます為に必要な行為なのだと、納得させられていった。だが、「愛してる」って…。
一晴は柊太郎を突き飛ばした。柊太郎は雪の上で何とか踏みとどまり体勢を保つと、一晴を恨めし気に睨んでみせた。
「なんなんだよー」
「俺の方が『なんなんだよ』だ!人に聞かれたら、どうすんだよ!」
そういえば、さっきのキス。あれも、誰かに見られていたかもしれない。一晴は周りを見回し人の姿がないか確かめた。特に、照明の点いている職員室の様子を注意深く窺った。
「別に、大丈夫だろ。こんなの聞かれたって」
柊太郎の言葉を、一晴はその通りかもしれない、と思った。二人は遠目には肩を組んだ友人同士だし、友達にふざけて「愛してる」とか言う男もいるかもしれない。自分は、気にし過ぎている。もう、柊太郎にされる何もかもが恋人にされることとしか受け取れないから。
柊太郎は怒っていたかと思えば急に黙り込んだ一晴に近付き、自分のそれよりほんの少し下方にある顔を覗き込んだ。
「……本気で怒った?」
一晴は怒った、というより、自分ばかりが冷静でなくなっている気がして、悲しくなっていた。
「ごめん。なんでか、声に出したくなったんだ。もうしないから」
なんだ、もうしないのか。あべこべではあるが、そうがっかり思わないでもなかった。だが、一目につく場所で、しかも、これからも毎日通う学校で、こういったことは勘弁してほしいという気持ちは切実だった。
「もういいよ。でも、今度したら、」
「したら?」
したら、…針千本?なんだそれ、そんなんじゃなくて、もっと現実にできそうなこと…。
「嫌いになる」
一晴は自分が言い放った言葉を、自分でも馬鹿じゃないかと思った。結局、針千本と変わらない、不可能なことじゃないか。だが、柊太郎の方は笑いもせず、「わかった」と生真面目に了解してみせた。…までは、よかったのだが。
「ハートマークでも描くか」
「はぁ?」
「言えないんだったら、せめて描いたら、気も収まるかも。でっかいのな。校舎の、四階とかからよく見えるやつ」
柊太郎は右足を雪に引きずらせ、溝を作り始めた。どうやら本気でハートを描くつもりらしい。
「やめろって」
一晴は腕を掴んで止めようとしたが、体格と体力が共に勝る柊太郎にはかなわなかった。一晴は作戦を変更し、柊太郎が掘っていくさきから、溝を足でならしていった。
「あっ、ひでぇ!」
「言ってもやめないからだ!」
「だったら、めちゃくちゃデカいハートにしてやる!ならそうとしても追いつけないヤツ」
柊太郎と一晴のひざ下は、雪ですっかり濡れてしまった。
「なんか俺らの先に、もう来てるぞー」
人の声を聞いて、柊太郎と一晴が揃って後ろを振り向くと、二人と同じルートで学校の敷地内に侵入したのだろう五人の生徒らしき男子達が、遠くの校庭の端に見えた。
「行くか」
一晴より先に、柊太郎が言った。
「おーいっ!雪合戦、一緒にやるーっ?」
五人うちの一人が、手を大きく振りながら聞いてきた。知らない顔だが、この時期、受験真っ只中の三年が風邪ひきのリスクを冒すことは考えられないから、 二人と同じ二年か、下級生の一年だろう。
「いいやー!俺ら、靴も濡れてきてるしー!」
そんなことが理由になるのか怪しかったが、向こうは「わかったー!」と返事したきり、それ以上はこちらに絡んでこなかった。
二人は例の入口に使った場所を出口として利用すべく、校庭を離れた。南校舎の角を曲がる前に、一晴は一度だけ、校庭を振り返った。雪を投げ合う男子達がいる場所の奥、柊太郎が作った溝は、まだハートの一つ目の山にも至っていなかった。
学校から、雪道を再び歩いて二分。第二の目的地であるコンビニで、二人はおでんを買い、店内の隅に設置されたイートインで具を分け合いながら食べた。
食べている最中に、柊太郎に「今日も泊まるか?」と聞かれ、一晴は自分の家の事を思い出した。母の恋人である男は、おそらく今日は一日中、あの家にいる。彼も母も、高校生の息子が帰ってこない方が都合がいいだろう。
「柊太が、いいなら」
「じゃ、明日の朝の分まで買っとこーぜ」
おでんを完食すると、二人で品薄気味の棚をひやかしつつ、弁当やらパンやら菓子やらをカゴに放り込んでいった。会計のレジで、柊太郎は肉まんを追加で購入した。一晴も誘われたが、午前中は特に食が細くなる一晴は、もう十分だと遠慮した。
二十分余りいたコンビニを出ると、雪の明るさに一晴は目を瞬かせた。ただ、行きとは違い、帰りの道では、もうそこら中で雪掻きがはじまっており、グレーのアスファルトの道がところどころ露出し、ひっくり返され作られた雪の小山は茶色に汚れていた。
明日は、休校にはならないだろう。早朝からの特別に美しい時は名残りをのこしつつ終わり、もう世界は日常へと戻り始めていた。
幹線道路沿いの歩道に出てしばらく歩いたあたりで、柊太郎が「そういえば外でキスしたの、はじめてだったな」と出し抜けに耳元で囁いてきたものだから、一晴はそれなりの強さで柊太郎の脇に肘鉄を喰らわせてやった。
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