君を想う時間が好きだ。 世界の全てが美しく見えて、 この世の全てに優しくなれる。 オープンしたばかりのパン屋。 日向で欠伸をする野良猫。 白い息を吐くサラリーマンの、赤くなった鼻先。 手を繋いで歩くカップル。 何でもない日常の風景が、 心のアルバムにストックされていく。 君を好きでいた日々の記憶。 今はまだ寒そうな裸の街路樹も、 春になればきっと、 新緑のジャケットを嬉しそうに靡かせる。 毎日少しずつ変わっていく景色を眺めていると、 僕と君が、同じこの世界に生きている奇跡を、 とても嬉しく思うんだ。 僕と君の手が、この先の未来で繋がることはなくても、 それでも僕は、 君を好きになって良かったと笑うよ。