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第3話💓僕の願い

僕達は一緒に住んでるわけじゃない。 最寄り駅が同じだったから 出会えたんだけど 家の場所は結構離れているから 待ち合わせは僕の職場である 駅ナカの本屋が多い。 会う場所はどっちかの家。 お互いに一人暮らしだけど 関係を両親に話せていないのが 一緒に暮らせない理由だ。 ୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧ 『いらっしゃい』 今日は僕の家。 『お邪魔します』 その台詞が寂しい…… 『どうぞ』 本当は“お帰り”と“ただいま” って言いたいし言われたい。 同じ場所に帰ることが できたらどんなに 幸福(しあわせ)だろうね…… 『春弥(はるみ)?』 いけない、ボーっとしていたみたいだ。 『ごめんごめん、 今、飲み物とおやつを 持ってくるから 座って待ってておくれ』 追求される前にキッチンに逃げた。 飲み物とおやつを持って リビングに戻ると風夜は本を読んでいた。 僕の書棚から持ってきたらしい(๐•ω•๐) 動いた気配がしなかったなぁ(笑) 『飲み物とおやつ、持ってきたよ』 悟られないように笑顔で言った。 『ありがとうございます。 勝手に書棚から借りました』 一々、報告しなくていいのに(笑) 『好きな時に好きな本を読んでいいからね』 文系の僕が買う本はジャンルがバラバラだ。 ミステリーだったり恋愛物だったり、 しまいにはBLなんかもある。 『では、今度からは ご報告せずに 読ませていただきますね(๑^ ^๑)』 風夜の気に入るものがあるなら 好きな時に好きな本を 読んでくれて構わない。 『うん』 本を閉じてソファーの上に置くと 降りて来て、隣に座った。 『いただきますね』 紅茶と市販のクッキーを食べ始めた 風夜の横顔を眺めていた。 ୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧ 夕飯後、風夜が帰る時間になった。 寂しいなぁ。 そう思ったけど、表情(かお)には 出さないように(つと)めた。 『またね』 風夜のしている研究が佳境に 入るらしいから 向こう二ヶ月くらいは会えない。 『当分会えませんが電話やメールをしますね』 僕は無言で頷いた。 風夜はキスをしてから帰って行った。

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