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第10話☘️十二年後

あの食事会から十二年。 僕は三十歳、桂二さんは四十六歳。 宮戸さん改め夢仁さんが三十七歳 一葉ちゃんが二七歳に。 そして、今日は二人の結婚式だ。 参加者は一葉ちゃんの友人数名、 夢仁さんの同僚数名、妹の芙深ちゃん そして僕と桂二さんだ。 当然の事ながら あの母親は呼ばなかった。 夢仁さんにもあの話をしたら 一緒に怒ってくれて一葉ちゃんが 二十歳になった時に縁を切った。 芙深ちゃんには高校卒業後に 色々なことを話し、 今は一人暮らしをしている。 母親の話しを聞いた芙深ちゃんは 何も知らなくてごめんなさいと 一葉ちゃんに謝った。 苦手と言っていた 一葉ちゃんも芙深ちゃんに謝った。 あの頃は小学生で 姉と父親と離れて 暮らさなければならなかったのだ。 芙深ちゃんは寂しかっただろう…… 『一葉ちゃん綺麗だね』 隣にいる桂二さんに言った。 ウエディングドレス姿の 一葉ちゃんは本当に 大人っぽくなり綺麗になった。 そして、一葉ちゃんが ブーケを投げ、受け止めたのは 妹の芙深ちゃんだった。 『よかったね』 芙深ちゃんは ブーケを抱き締めて 嬉しそうに笑った。 結婚式の帰り道、 僕は嬉しいのに 寂しくもなっていた…… それは、一葉ちゃんを “桂二さんの娘”なのに “自分の娘”のように 思っていたからだろうか……? これからも二人に 幸せが続くといいなぁ♬*.+゜♬*.+゜ ************************************* 『なんか、家が広いね』 一葉ちゃんの結婚式から 帰ってきて思ったのは そんなことだった。 『そうだな』 桂二さんが頷いてくれた。 不図、実家を思い出した。 僕が家を出た後に 母さん達も同じことを 思ったのだろうか? そうだとしたら “親”の気持ちが少し わかった気がする(苦笑)

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