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 「ねー、そろそろ飽きちゃった。いつまでこのごっこ遊びを続けるの?」  白い床、白い壁、清潔感漂うその病室に突如として響く青年の声。  「穂波、穂波、もう“マツタカ”君に成りきるのは飽きたー!」  小さく、きれいに整ったその唇から紡がれる言葉。華奢で愛らしい顔立ちをした青年、二葉はベッドの上にいる穂波に猫撫で声で甘える。  「...え?何を言ってるんだ松高。飽きるも何もお前は松高だろ。おかしいことを言うなぁ、」  はははっ、と声を出して笑う穂波。その目は澄んだ瞳をしていた。目の前の男は一体何を言い出しているのだ、面白い冗談だ、とただただ笑っていた。  「そんなことよりさ、また首輪付けてよ。ほら、こうやってさ」  「は...?松高、お前...」  二葉は微笑み、白い手を伸ばすと穂波の手を掴んで自分の首を握らせた。  そうすれば、さすがの穂波も口元をヒクつかせ動揺を見せた。  「シルシが欲しいんだ。強くやってよ、ねぇ、...あの日みたいにさ、」  「あの日、みたい...に、」  「そう、あの日僕と同じように、穂波は独占欲を見せたでしょ?僕の首を...―――― シメタデショ?」  「...ぁ、俺...は、俺は...っ、」  その瞬間、穂波の顔からはストン、と表情が消えた。  そして、  「ははっ!あははははっ!!殺してやる!!殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる!!」  「...ぅぐっ!!がッ、ぁ...ッ!!」  瞳は黒く濁り、整った顔を歪めさせた穂波は二葉を己のベッドの上へと引き寄せ、押し倒すと凄まじい力で首を締めつけた。  その時発した奇声で廊下の方からはバタバタと複数の人間が走ってくる音が聞こえてきた。  そして二葉が息苦しさから白目をむき始めた頃、漸く穂波は看護師たちに取り押さえられ、二葉から離された。  「あははははっ!!あぁ、残念。でもきれいだ...とても...とても―――きれいだよ?」  床に抑えつけられながらも、むせ込み、起き上がる二葉を見て穂波は狂ったように笑い続けた。  「あぁ、勃っちゃった...」  そんな笑い声が響く中、二葉は微笑みボソリとそう呟いた。  

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