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第7話

 芸能界で過ごし、人間の裏の部分ばかりを見てきた春臣にとって飾り気のない、初心な誠太の反応は心地よく感じた。  媚ではない、純粋な好意。そんな気持ちを含ませた眼差しを向けられれば誰だって興味を持つはずだ。  ― だから遊ぶことにした  面白いと思った。ゲーム感覚だった。純粋無垢なその少年を大切に大切に包み込んで―――― 汚したいと思った。  「なぁ、京太、人間失格って本あるだろ。お前はどんな奴をそう言う?」  「え?急だなぁ。そんなすぐには出てこないけど...というよりも、僕には人の価値を決めることなんてできないかな」  車を運転する京太はそう言い、頭を悩ませた。それは何とも京太らしい答えだった。なんせかんせ人嫌いする姿を生まれてこの方、見たことがない。  それからロケ現場に着いた春臣は京太と共にスタッフたちの元へと歩いていく。  今日はドラマ撮影などではなく、食レポの撮影で、何ともやる気の出ない仕事だったが、これも知名度を高めるための仕事だと、春臣はいつもの営業スマイルを振りまく。  「おはようございます!今日も一日よろしくお願いします」  「おはよう春臣君、今日も相変わらず元気がいいねぇ。やっぱり若いのはこうでなくちゃ」  「いやいや、昇さんも十分若いですって!大人で格好良くて俺、憧れちゃいますもん!」  目の前にいる今日共に食レポを行う男、昇は30~40代の女性に今人気の俳優だ。演技はもちろんのことその甘いマスクに幾多の異性が恋に落ちたのだろうか。  ― ただ演技を女を落とす道具としか思っていない当たり、心の底からこいつのことは尊敬できないけど。  「春臣君、おはようございます。今日は春臣君との撮影楽しみにしてたんですよ、会うのは前のドラマ以来ですよね」  「あれ、前のドラマ以来か!なんだか久しぶりな感じがしないな。よくテレビで見てるからかな?」  次に現れたのは同じく撮影を共にするアイドルのあやなだった。アイドルブームの今、その中でもトップに立つ存在だ。あやなは前のドラマで恋人役として共演したが、それ以来何かと色目を使ってくる発情した雌犬だ。  何かと胸を押し付け上目遣いをしてくるが春臣の目には仕事仲間のただの棒人間の一人にしか映っていなかった。  ― 演技も何もできないくせによくドラマに出たりするよな  あまりの下手さに何度笑ってしまいそうになったことか。こんな人間でもドラマの重要な役につくことが出来ること自体に批判を送りたいところだった。  「それにしても、素敵な2人に囲まれて撮影なんて嬉しいな。今日は撮影ではありますが皆さんで楽しんで行きましょうね!」  そして棒人間たちに囲まれたまま春臣は演技を続けた。

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