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つっこまないと出られない部屋
そこは何もない白い壁で囲まれた部屋だった。
窓もなければ出入口のドアもない。
そんな部屋に、警視庁捜査一課弐係・有栖川彩兎係長と、同じく警視庁の科学捜査研究員・灰原透主任が閉じ込められていた。
「……前に、入れられた事のある部屋ですね」
「…何?彩兎ちゃんもか?実は俺もだ。確かあの時は条件をクリアしなければ出られなかったと思ったが…」
と、突然、頭上に現れた1枚の紙がヒラヒラと落ちてきた。
彩兎がその紙を拾い上げる。
「…どうやら、今回もそのようですよ」
『つっこんで下さい』
その紙にはそう書かれていた。
「…つっこむ、いったい何の事でしょうか?」
「彩兎ちゃん」
「はい。何でしょう?」
「はっはっは、なんでやねん」
にこにこ笑った透が、いきなり手の甲で彩兎をペシッと叩いた。
「……」
「……」
何もおこらない。
「…ど、どうやらその『つっこむ』ではないようですね」
「そうか、残念だな。では何を『つっこむ』のだろう?」
「…何を。…首をつっこむ、とか?」
「…ふむ。足をつっこむ。手をつっこむ」
「…食べ物をつっこむ、玩具をつっこむ…と、(いけない)」
「玩具?」
その時、部屋の隅に何の前触れもなく箱が現れた。
「…あ、あれ?あんな物ありましたっけ?」
「…いや。無かったな。何が入っているのだろう?」
二人は箱に近付き、色んな角度から調べ安全確認をすると、箱を開けてみることにした。
特に鍵もついていないその箱は、簡単に開ける事が出来た。
はたして、その中には…
「……玩具、ですね」
「玩具?これが?」
「おや?灰原さんは見た事無いですか?所謂、『大人の玩具』ですよ」
そう言って彩兎は男性根の形をした玩具をひとつ手に取りスイッチを入れた。
ウィン、ウィン、と妖しい動きをするその玩具。
手に馴染みのあるソレに、密かに(あの店のモノかもしれない)と彩兎は苦笑した。
「うむ。これが所謂『大人の玩具』か。知識として知ってはいたが、現物を見るのは初めてだな」
透もひとつ手に取り、筒状になっている柔らかい素材のソレの感触を興味深そうに確かめた。
「使ってみますか?使い方、教えますよ♪」
「何?本当か?ではコレはどう使うのだ?」
あらためて箱の中身を見た透が取り出したのは玉が数珠のように繋がったモノだった。
「ああ、いいモノに目を付けましたね♪先ずはソレからがいいかもしれません。灰原さん、初めてでしょう?」
「ふむ。初めてだとソレからがいいのか。…と、ちょっと待て。彩兎ちゃんは何をしている?」
「灰原さんが脱ぐのを手伝おうと思いまして♪はい、ベルト抜きますね♪」
「待て、待て。何故、俺が脱ぐ必要がある?この場合、脱ぐのは彩兎ちゃんの方であろう?」
「何故、僕が?」
「使い方を教えてくれるのであろう?ならば彩兎ちゃんの身体で試させてもらわねば」
「イヤだなあ、灰原さん。灰原さんはコノ玩具達の使い方が分からないんですよね?じゃあ僕が使って灰原さんは身をもって体験すればいいんですよ♪」
「何?それでは玩具の性能は分かっても使い方は分からないではないか。やはりここは彩兎ちゃんの身体を使わせてもらうのが確かであろう」
「研究者の灰原さんとしてはそうかもしれませんが、経験者がいる場合は先ずはその人の指示に従うものですよ」
「いや、しかし…」
「それに『100の見聞より、たった1度の経験にこそより価値がある』と誰かも言ってました♪」
と、胡散臭い笑顔を浮かべた彩兎が透にじりじりと迫る。
追い詰められた透は、自分の上着のポケットから何やら取り出した。
彩兎がソレを認識する前に、透は取り出したスプレーを彩兎の顔に吹きかける。
「な、何ですかっ…?」
「悪いな、彩兎ちゃん。俺はつっこまれるよりつっこみたいタチなんだ。安心するがいい、ソレは『ももっしゅ』の改良型だ。『ももっしゅ』についてはお話『ももっしゅ』を参照するといいぞ」
「…宣伝する…なん…て。…くっ、…身体が、…熱…い……」
「どうだ?彩兎ちゃん。…フェロモンが効いてきて、そろそろコレが、使いたくなってきただろう?」
ジャラっと音をたて、透が数珠のような玩具を彩兎の前に見せつける。
「……あ、…はぁ…、ほし…ぃ…」
顔を上気させた彩兎の目が、うっとりとソレを見つめる。
そして、手を伸ばし…
ガッと、透の腕を掴んだ。
「…貴方が、悶えヨガる姿がね」
「……な、にをっ」
彩兎は掴んだ透の腕を後ろにひねりあげる。
そして苦痛に歪む透の顔に、優越とした顔を近づけた。
「…いけない奴隷ですね。御主人様にそんなモノをかけるなんて。お陰で“彼”以外に見せた事がない僕の裏の顔をさらけ出す事になってしまった」
(……彩兎ちゃんの、…裏の顔?)
「罰として、貴方にはたっぷりとお仕置きをしてあげますよ。自分は御主人様の僕に逆らう事が出来ない奴隷なんだと、分かるまでね」
ふふっ、と妖しい笑みを浮かべる彩兎。
透の背中を冷たい汗が一筋流れた…。
「…は……ぁ、…も…、…ゃ、…ぁぁ…」
涙と涎と汗と、撒き散らされた白濁でぐちゃぐちゃになった透の側に、使用済みの玩具がいくつも転がる。
最後の玩具でイカされた透の屹立からは、もう透明な液体しか出ない。
その玩具を透の後孔から引き抜くと、後孔は慄き閉じる事も出来ずにヒクついていた。
「……全部使えば、部屋の鍵が開くかと思ったんですけどね」
彩兎は部屋の惨状に恍惚とした笑みを浮かべながらも思案する。
「…いったいナニをつっこめば…。ああ、そうだ」
彩兎は力なく横たわる透に近寄り声をかける。
「灰原さん、もうひとつだけ試したい事があるのですがいいですか?」
虚ろな目をした透が、うっすらとした笑みを彩兎に向ける。
「……はぃ、…ごしゅじんさま…」
透の反応に満足そうに笑い、彩兎は自分の屹立を透の後孔に宛がった。
「…じゃ、挿れますね」
ズブズブと進入してくる彩兎自身に透の身体が仰け反る。
「…あ、…あ、…あぁっ」
「…玩具で散々イカせたのに、まだ感じるんですか?」
「……ぁ、…だっ…て、…おもちゃ…と、…ぜんぜ…ん、…ち…が…」
「…ふ、いい子ですね」
彩兎は自身を透の最奥までズンッと突き挿れた。
透の口から矯声が零れる。
「…あうぅっ」
その時、部屋の鍵が開く小さな音が『カチッ』と鳴った。
(…やっぱり、コレが正解だったんですね)
彩兎はそれに気づいたが、自分の下で喘ぐ奴隷の為に、ご褒美をあげるべく腰を動かし始めたのだった…。
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