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たった一晩しか留守にしていなかったのに
何日も出掛けていたような気持ちで靴を脱いだ。
1DKの小さな部屋。
引っ越し先も決まってないのに、立ち退きの期限
だけが迫っている。
和真は必要な物以外は、だいたい段ボールにしまい
キッチンの端に積み上げていた。
もともと大した荷物はない。
柊生が買ってくれた食料をキッチンのテーブルの上に
広げた。
ペットボトルのお茶や水、ほとんどはレトルト食品
だったが、缶詰やカップ麺、シリアルまであった。
思い付くまま、ポンポン買い物かごに商品を投げ入れる
柊生の姿が思い浮かんで、和真は一人でにやけてしまう。
買ってもらったペットボトルを一本空けて飲み
部屋着に着替え、キッチンで歯を磨き、顔を洗い
携帯に充電器を挿して、はぁぁ~とため息と共に
ベッドに体を投げ出した。
風邪のせいなのか、飲み過ぎた抑制剤のせいなのか
とにかくダルくて、眠い。食欲もない。
和真は それからあっという間に眠りに落ちた。
目が覚めた頃には22時を回っていた。
真っ暗な部屋の中で目覚め
和真は枕元の目覚まし時計を横になったまま見た。
よく寝たな、と欠伸をしながら、手を伸ばして
今度は携帯を手に取る。
ー あれ?電源が入らない
寝る前に充電をしたはずなのに、あまりに眠くて
ちゃんと刺さってなかったか、と思った。
部屋のリモコンを探して電気をつける。
ー ? 点かない。。
リモコンはピッと音がして反応したのに
電気は暗いままだ。
和真は嫌なことを思い出して起き上がった。
何日か前に督促状が来ていた。
そうだ、払わなければと思いつつ1万にも満たない
金額を渋って迷っているうちに 忘れていた。
テレビ台の引き出しから懐中電灯を出して
督促状を探す。
ー ヤッパリ!
督促状と共に送られてきていた支払用紙を
なくさないように、キッチンのテーブルに置いた。
とりあえず もう今日は寝てしまおう。
懐中電灯の電池だって無駄にはできない。
明日明るくなったら払いに行こう。
でも、ヒートで出歩いて大丈夫だろうか…?
あ、ネットから支払!
って携帯も充電なかった…。
考えれば 考えるほど情けなくなってきた。
もう どうでもいい。
考えたくない…。
全て明日 明るくなったら考えよう。
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