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その後の僕達②
僕と珀斗くんは
大学内でも一緒に
いることが多くなり
時には二人でマンションに
帰るなんてことも(笑)
『お母さんは大丈夫?』
浮気相手の僕に
心配されるのも
あれだろうけど
少しの罪悪感は
やっぱりある。
「大丈夫だよ。
それに、最近は
愁聖さんの方が
母さんみたいだって思うんだ」
ぇ?
珀斗くんの言葉に
ケトルを持ったままの手が止まった。
「それにね、父さんは
愁聖さんを連れてくる
大分前から母さんを
愛してなかったんだよ」
えぇ?
『それはどういう……』
言葉の意味を
捕らえかねていると
珀斗くんが玄関の方を指して
「本人に訊きなよ」と言った。
静棋さんが帰って来たみたいだ。
『そうだね』
着替えてリビングに
来た静棋さんに
珀斗くんから
聞いた話が本当か
確かめた。
『あいつに愛が
ないのは本当さ。
そういう感情で
愛しているのは愁だけだ』
嬉しいような
複雑のような
表現のしようのない
思いもが胸の奥に渦巻いた。
『愁が気に病むことはないんだ』
納得いかないわけじゃないけど
腑に落ちないような思いがある。
「僕もそう思う」
珀斗くんまで……
静棋さんは
僕を抱き締めた。
『愁、愛してる』
言った後、
少し離すと角度を
何度も変えキスされた。
『僕も愛してる』
奥さんに対する
罪悪感が
拭われたわけじゃないけど
静棋さんを愛する気持ちは
どう足掻いても消せない。
「ちょっと、息子の前で
イチャつくのやめてよね。
・・・・
父さんも愁母さんも」
珀斗くん⁉
『ぁははは』
うん。予想通り
静棋さんは大笑いしたね。
「言ったでしょう?
愁聖さんの方が母さんみたいだって」
あれ、本気だったのか……
『まぁ、
好きに呼んで(苦笑)
それから、ご飯にしよう』
この数ヶ月後、
静棋さんと奥さんの
離婚は成立した。
珀斗くんは
僕達と同じマンションの
四階に部屋を借りた。
勿論、静棋さんの名前で(笑)
因みに僕達の部屋は七階。
始まりは僕の家出と
あの日、静棋さんが
僕に声をかけてくれたこと。
結婚できなくても
血の繋がりなんか
なくても僕達は家族だ。
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