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第1話

 いったい何度放出したことだろう。下腹部は二人分の精液で淫らに濡れている。それでもまだもの足らないのだと、餓えた直人の唇は敬介の頬に触れていた。  ドキドキする胸を敬介の胸に押し付けてねだる。 「敬ちゃん、上に乗ってもいい?」  もうすでに回数をこなしているというのに元気なことだ。  騎乗位でしたいという意味を察して敬介は口元だけで笑った。 「お前その体位好きだな」 「だって、なんだか敬ちゃんを俺のほうが抱いてるような気持ちになるんだもん。敬ちゃんは俺だけのものだっ……て、そういう気分になるんだ」  しっとりとして華奢な手が敬介の腕をひらりと撫でる。 「抱かれるのはちょっと困るけどな……」 「ねぇ、してもいい?」  直人は起き上がり、敬介の大腿部をまたいで言った。先にその体勢を取っておいて許可もなにもあったものではない。 「ああ、好きにしていいよ。俺はちょっとマグロになってるから。直人は自分で俺のを入れて楽しんでろよ」  少し疲れていたので楽をしようと直人に主導権を渡す。  幼い恋人は意気揚々と敬介の分身に手を添えた。あきれるほど素直で率直な態度だ。 「うっ……くすぐったいな」  握られて反射的に声が出た。 「敬ちゃん、俺が感じさせてあげるからね」  言葉通り、直人は敬介の欲情を熱心に追い上げていく。 「くっ、」  見る間に屹立するさまは敬介自身をも驚かせた。  かなり疲れていたというのに、身体も心も単純なものだ。  直人からの直接の愛撫がとてつもなくうれしかったのだ。 「敬ちゃん、コレちょうだいね」  腰の真上へと直人はまたがる。  たっぷりの精液で濡れている尻の穴。数度の挿入でやわらかくほぐれたそこは、苦も無く敬介のペニスを飲み込んでいった。 「あ、あぁ……」  満足げなエロ声が上から降ってくる。 「いいな。お前、凄いぜ……」 直人が乱れている姿を見るのが敬介は好きだ。可愛くて積極的な恋人が自分のペニスでよがり狂うさまは、見ていて楽しいしとびきり興奮する。 「敬ちゃ…ん……。んっ、イイ」  ずぶずぶと自分で体内に招き入れて、すぐに腰を上げて引き抜く。それからまた最奥までを満たす。何度も味わう。  直人は放心して口を開いていた。もう声は出ず、ただ苦し気な、そのくせ満足げな息だけが続いている。 「エロい顔してるな」  そのうえ最高にエロい身体だと感心する。  敬介は様子を伺いながら、効果的なタイミングで大きくひとつ腰を突き上げた。 「ぅあっっ」  倒れ込んできた上半身を手で支える。もたらされた深い法悦に直人はきつく目を閉じていた。  それでもまだいやらしい腰の動きは止まらない。  敬介のくれる快楽が濃くて、恥じらいなどどこか遠くへ吹き飛んでいるようだ。 「直人」 「お尻、いい……。敬ちゃんのおちんちんが、俺の…中……いっぱいで……、ああん……。腰ゆらすと、中……ぐりぐりするの…ぉ……」  舌足らずに卑猥な言葉を漏らしている。 「恥ずかしい音させてるな。ほんとに直人は恥ずかしい奴だ」 「やだ……そんな風に、言わないで………」  首を振っていやがるが敬介はやめない。 「淫乱だな」 「!」  強烈な言葉嬲りを受けて直人は達していた。下腹に熱い体液がじゅわっと広がる。虐げられて感じたのだ。  続いて起こった直腸の締め付けは敬介をうならせた。 「う、すげぇ…」  淫靡な感触を直に受けて、胴震いして敬介も果てる。  脳髄がしびれるほどの快感。  ふたりはしばらくのあいだ身動くこともできず、重なり合ったまま放心していた。  時を置き、やがてまともに声を出せるようになると、敬介の行いを直人は責めた。 「酷いよ……、敬ちゃん」  泣いてはいなかったが恨めしい表情ではあった。 「マグロになってるって言ったくせにあんなに大きく腰動かして。そのうえ『淫乱』だなんて……」 「ごめんごめん。お前少しマゾっけあるからな。ちょっと苛めたくなった。悪かった」 「ばか」 「でも、まんざらでもなかったんだろ」  言われて、感じただろうと匂わされて、直人は一気に頬を朱に染める。  先刻の身体の反応ですっかりばれてしまっていた。 「敬ちゃんの大ばか」  可愛くののしって、照れた顔を敬介の胸にうずめて隠す。  敬介は優しく髪を撫でた。 「ごめんな。あんまりお前がかわいくてさ」  甘く優しい声のトーンで許しを請う。  直人は顔をあげて息を整えた。 「俺、敬ちゃんがくれるならどんなことでもうれしいんだよ」  敬介になら愛されても嬲られてもかまわない。そういう強い意志を感じて敬介は目を見開いた。 「直人」 「自分でもやばいんじゃないかと思うくらい敬ちゃんが好きだよ。敬ちゃんは……?」  自分ばかりが好きすぎると思うと悲しくて、震える声で直人は問いかける。 「決まってるだろ」  潤んだ瞳を真っすぐ見つめ敬介は愛の言葉を押し出した。  少し照れるけれどこういう時は手を抜いてはいけない。はっきり言わないと直人が拗ねる。いつだったか、言いづらくて言葉を飲み込んだために泣かれてしまったことがあった。そんな思いはさせられない。 「大好きだよ、直人」 「敬ちゃん」  今度は敬介が上になって、直人のしなやかな身体をきつくきつく抱きしめた。そしてさらに深い快楽を追っていくのだ。 「敬ちゃん好き、好き……大好き」  直人の健気な声に刺激されて敬介の分身はすぐにまた復活していく。  エッチな恋人にここまでつきあえるのだから自分も相当なものだと内心で苦笑しながら、敬介は直人の淫乱な肛門に己の勃起を突き立てていた。

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