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第二章・19
「あの、武藤さん。今度の金曜日、僕のマンションに来ていただけませんか?」
「金曜日?」
「チョコレート・フォンデュを御馳走したいんです」
「いいねぇ。お邪魔しても、いいの?」
「もちろんです!」
涼真から色よい返事を聞けた瑞は、今から胸がどきどきしてきた。
部屋を片付けなきゃ!
花を飾らなきゃ!
そうだ、アロマも焚こう!
こんなに心が浮き立つなんて。
こんなに誰かのことを想えるなんて。
幸せな心地の瑞は、一週間お菓子を作ることなく週末を迎えた。
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