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さようならは再会のために
1955年
ごめん、
君を置いて
いくことを許してほしい。
本当は僕は君を
置いていきたくないんだけどね……
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2055年。
〈僕〉は前世の記憶を持っいる。
二十歳になった日から
それは【夢】として毎夜みていた。
毎夜少しずつ変わる場面。
【夢】の内容が本当なら
二人は死別ということになる。
前世の〈僕〉は何らかの理由で
死ぬということだ。
声だけ聞こえる〈彼〉は
前世の〈僕〉の傍で泣いている。
顔は見えないけど
すすり泣いている声は
はっきりと聞こえていた。
現世の〈僕〉はまだ
現世の〈彼〉に会えていない。
前世の【夢】を
見るようになって七年。
〈彼〉は現れるのだろうか?
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二十八歳の誕生日を
二週間後に控えたある日
〈彼〉は現れた。
ベタな話だが
その日も夢について考えて
歩いていたら
案の定、人とぶつかってしまった。
謝ろうと顔を上げた先にいたのは
まさしく、ずっと
探していた〈彼〉だった。
直感や見た目というより
魂 が〈彼〉だと伝えていた。
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数年後、僕達は同棲し始めた。
後から知ったのだけれど
〈彼〉も前世の記憶があり
直感というよりやはり魂 で
〈僕〉のことがわかったらしい。
あの頃 の話を沢山した。
二人でいると色々と
思い出していった。
パズルの欠けたピースを
見つけるみたいに。
前世で死別してしまった僕達は
現世でまた出会い今、一緒にいる。
何度生まれ変わっても
〈僕〉は魂 で
〈君〉だとわかるから。
何度生まれ変わっても君を愛してる。
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