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 その人は、細雪の降りしきる庭にひとり佇んでいた。  風景の何もかもが、白く煙るなか、立ち尽くす私に、鮮やかな紅の唇が微かに微笑み、そして次の瞬間、掻き消すようにその姿は見えなくなった。  私の胸に緋の痕跡を残して、雪俄は異界へと消え去った。  ただ、それだけのことだった.....。  

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