ある日を境に遥人先輩に対する 嫌がらせや暴力、はてはｽﾄｰｶｰまで…… 日に日に、ご飯の量は減り かわりに身体の痣が増えていきました。 龍己さんや啓隆さんは心配されています。 「遥人さん、 話してしまってはどうですか?」 日に日にやつれていく 遥人先輩を見兼ねて 僕は言いました。 嫌がらせが始まって もうすぐ一ヶ月です。 『俊暎、何か知ってるのか?』 啓隆さんが僕の言葉から 何かを察したみたいですね。 「知ってると言えば知ってます」 同じ学校ですからね(苦笑) 『遥人、俺達家族に 隠し事はなしだろう?』 啓隆さんの言いたいことは わかりますが 遥人先輩の気持ちもわかります。 『最近、別々に寝たがるのも 隠し事と関係あるんだろう?』 啓隆さんは気付いていたんですね。 意図的に避けてることを。 「遥人、啓隆の 言うとおり俺達は家族なんだから どんなことを聞かされても 軽蔑したり避けたりしない」 龍己さん…… 遥人先輩は怖かったんでしょう。 二人に知られることが。 嫌がらせをされていることも 啓隆さんを避けてる原因でもある “あのこと”も…… 『わかった、話すよ』 意を決して話し出しました。 ✯一ヶ月弱前から一人の女のせいで 嫌がらせを受けていること。 ✯暴力を振るわれいることを…… 『俺が啓隆と寝なかったのは 痣だらけの身体を 見られたくなかったからなんだ』 遥人先輩が服を捲り、二人に見せました。 僕は何度か見ていますから 驚きはしませんが 眉間にｼﾜを寄せてしまいました。 「酷いな……」 龍己さんも眉間にｼﾜを寄せました。 『気付いてやれなくてごめんな』 啓隆さんのこの言葉で 遥人先輩が 初めて泣きました。 泣きじゃくる遥人先輩を 落ち着かせようと 啓隆さんがｷｽをしました。 次第に嗚咽は 甘い啼き声に変わりました。 『ふぅん、はぁ、はぁ……啓隆』 泣き止んだ遥人先輩を見た僕達は 少しだけﾎｯとした顔になりました。 「啓隆さん、 実は、遥人さんを 嵌めた女は頼まれて 嫌がらせと暴力をしているみたいです」 僕の言葉に衝撃を受けたみたいです。 『緤の情報?』 〔緤〕というのは 僕の隣の席の子で友人です。 「そうです。 緤の情報は当たりますから」 緤の話しによりますと 遥人先輩を嵌めた女は 啓隆さん達の学校にいる 友人に頼まれたらしいです。 その女は啓隆さんが好きで 恋人が男だと知り 許せなかったみたいです。 『その女の名前分かるか?』 「はい、御笠亞玖亞と言ってました」 啓隆さんと龍己さんの表情から その女を知っていることがわかりました