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 内壁を抉られる毎に、内臓がグッと押し上げられるような感覚が襲う。  それこそが絶対に人並みじゃない和彦の性器が、幾度となくお尻の割れ目を行き来した。  俺は一度もそんな事を言った覚えはないのに、「七海さんバック好きですもんね」と決め付けてる和彦は、俺が声を上げるのを嬉々として耳を澄まし、確信に変えてるんだろう。 「……ん、は、ぁっ……ぁあっ……やっ……」 「枕欲しいですか?」 「ほ、ほし……い……っ」 「だーめ」 「……っっ……じゃあ、言うな、よっ……」  後ろからガンガン突かれて体が摺り上がる。  何かを握ってたくて枕を掴んだ瞬間、ポイッと床に投げられて愕然とした。  枕にまでヤキモチを焼く和彦は、掴みどころを探し疲れてベッドに突っ伏した俺の背中にいくつも痕を残していく。  甘く腰に響く声に涙を滲ませると、すかさず舐め取ってキスをせがんでくる。  ───チリン、チリン、……。  上向かされる度、激しく揺さぶられる度、首に嵌められたそれから音が鳴って、いちいち俺を脱力させた。  いくらごねても、文句言っても、和彦は目元をとろんとさせて外してくんなかった。 「あ……七海さん、……っ」 「……んっ……、っ……んっ、んっ、んっ……」  切なく俺を呼ぶ和彦が、俺の腰を掴んでピストンを早めた。  ……イくんだ……。 もう何回目だよ。  脳まで揺らされるほど強く突かれると、奥まで到達する性器の先端を内側がモロに感じ取る。  擦られる前立腺の軟さに背中がのけ反り、早過ぎる打ち付けが和彦の性器を締め上げてさらに自らの首を絞めた。  俺の性器は和彦の動きに合わせてぷるぷると揺れ動き、抑えられない先走りがポタポタと溢れてベッドを汚す。  シーツを握り締める拳を朧気に見ては、必死で和彦の情欲を受け止めた。  思考をあやふやにさせるほどの快感と、呼吸をも忘れさせる内側の存在感に目の前がクラクラする。  我慢しないと宣言していた通り、和彦は際限なく腰を動かして孔を犯していた。  肌のぶつかる音が寝室中に響き渡って、ただでさえ心臓が壊れてしまいそうなのに、背後で絶頂を迎えた和彦の息を詰めた吐息にドキッとした。 「……あ、あっ……ぁん……っ、……んん、っ───」 「…………っ」  ぱちゅん、ぱちゅん、と突き上げる音が一際大きくなり、俺の腰を掴んだ和彦が力んだと同時に───何度目か分からない精液を、頭が空っぽ状態の俺はシーツの上に放っていた。  肩で息をする俺の背中に倒れ込む和彦は、射精後の余韻を楽しむのが好きなのか毎回半勃ちになったそれでゆっくりと挿抜する。  そして、俺の耳や後頭部に好きなだけキスを落としてから、じわりと引き抜いてコンドームを変える。  ……っていうのもこれで四回目だから、俺は和彦の腕を取って目で訴えた。 「……はぁ、……はぁ、……和彦っ、俺……」 「休憩しますか」 「えっ、いや、……ほら、もう夜中の三時だし……ね……?」 「そうですね」  慣れた手付きでコンドームを取り去り、生々しいそれをティッシュに包んでゴミ箱に捨てる和彦は、多少息が上がってるけどまだまだ元気そうだ。  休憩とかの問題じゃない。  ───寝かせてほしい。 和彦に触れてる手のひらさえ動かすのが億劫なんだ。  我慢しないですよって言ってたのを、皆まで言わなくていいと制した俺が軽率だった…。 「和彦、……聞いてる?」 「はい、もちろん。 一度お風呂入りますか?」 「一度ってどういう事だよ……俺もう眠……」 「寝かせませんよ、今日は」 「……そんな……眠いよ……俺眠い……。 って、おい……、やめっ……んんっ!」  こんなに愛される前だったら、その台詞にもドキドキ出来たのかもしれないけど……。  こてん、と横になってお尻の孔を無意識にヒクヒクさせていると、悪戯な和彦の指先がぐぷっと挿入ってきた。 「気持ち良くなかったですか?」 「き、気持ち良かったよ、そりゃ……! けど俺、一回も寝落ちしてないから……! ちょっ……指……っ」 「ほんとだ。 ウトウトもしなかったですね。 素敵です、七海さん。 ……僕はその……自分でもどうかと思うくらいしつこいらしいので……」 「いいっ、言わなくていい! 聞きたくない!」 「……七海さん……?」  浅いところをくにくにと蠢いていた和彦の指先を、体を反転させる事によって自分で引き抜く。  不貞腐れた俺は、足元でくしゃっとなった薄手のさらさら毛布を引っ張り上げて頭から被った。  なんだよ、なんだよ、なんだよ……っ。  めちゃくちゃ嫌なんだけど!  「らしい」ってなんだよ、「らしい」って。  過去を匂わせる和彦の何気ない台詞に、俺は盛大にムカついた。 「……っ、和彦のこと何でも知ってたいし、理解してやりたいと思うけど、それだけは聞きたくない!」 「……あっ……ごめんなさい、七海さん。 怒ったんですか……? 顔見せて……?」 「いやっ」 「──可愛い……っ。 ヤキモチですか? ねぇ七海さん、ヤキモチ?」 「うるさい! 知るか!」 「顔が見たいです、七海さんっ。 可愛いんだろうなぁ……ほっぺたピンクにして唇がむにって歪んで、吊り目で怒ってるんでしょう? 見せてくださいよー!」 「イヤだ!」  和彦のやつ……俺がヤキモチ焼いたって気付いたくせに、顔見せてだなんて空気読めっての。  俺が何に嫌がってるか、何でこんなに怒ってるのか、和彦はもう知ってるはずだから質が悪い。  毛布ごと俺を抱き締めた和彦が、優しく「七海さん」と呼ぶ。  そしてこんな事を言うもんだから、ほんとに質が悪過ぎだ。 「僕の初めては七海さんだと思っています。 最高のセックスを教えてくれた七海さんが、僕にとっては初めての人です」 「…………っ!」  ───我慢の効かない優しい狼め。  好きを垂れ流し始めた俺に、その台詞は卑怯だろ。

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