20 / 50

第20話 「反対色」

図書館の一番奥 日差しの差し込む窓がある場所 あまり人が来ないこの場所は、俺のお気に入りだった 「あおいー、またここに居たのか」 「……落ち着くんだよ」 本棚から顔を覗かせるこいつは、いわゆる幼馴染というやつで ふらふらと出歩く俺を、何故かいつも探しに来る いつだか、何でと聞いた時には、なんか探検みたいで楽しいじゃんなんて答えていたけれど 今俺が来る場所といえば、大体はこの図書館のこの場所で 面白味がないだろうに、何でまだ探しに来るんだろうかといつも思う 「……何でまた来たの」 「あおいに会いたかったから」 こいつはたまに意味が分からない事を言い出す 俺に会って何が起こるって言うんだ 得することなんてないだろうに 「……よく、分からないねお前は」 「簡単だよ?俺はあおいに会いたくて、あおいと話したくてあおいを探すんだ。好きな人に会いたくなるのは当たり前だろ?」 「……分からないな」 よく、分からない なんでお前は、俺なんかを好きだと言うんだ 「……俺なんかの何がいいって言うんだ」 呟いた声は、静かな図書館ではよく響いて 聞こえた声に、お前が反応する 「そーだねぇ……まずは綺麗なところ。動作も話し方も、使う言葉さえもがあおいは綺麗だよね。後は静かなところ。一緒にいるとすごく落ち着くんだ」 まずい、と思った これ以上聞いてはいけないと、思った 聞いたらきっと、 「まあ結局は、あおいがあおいだから好きなだけ。あおいの全部が好きで、その一部すらも愛しくて。そう思っちゃったから、俺はあおいを好きでいるんだよ」 自信がなくて きらきら輝いているこいつの隣に立つ 勇気がなくて それでも、お前がこんな俺を好きだと言ってくれるなら 「……俺もすき」 「……えっ!?」 気付かなかった? この窓からはね、お前の姿が良く見えるんだ 俺を探してここに来てくれるのをいつも待ってたんだよ あおい、って呼んでくれるの、いつも待ってたんだ ここにいたの、って 「……図書館では静かにね」 「う、ごめんなさい……ほ、ほんとに?」 「……うん」 大好きですよ お前が俺を好きと言ってくれる前から、ずっと

ともだちにシェアしよう!