20 / 34

第20話

 秀一の頭は、ぐるぐると渦巻いていた。  慶さんの言うことが本当なら。  あの係長に、僕と同じような苦しみを与えてやれるのなら。  係長に酷い目に遭わされている社員は、他にも大勢いる。  殺すわけじゃない。  これは、犯罪じゃない。   仕置きだ。  係長に、天誅を下すんだ。 「僕を、仲間にしてください。慶さんの、仲間に」 「ありがとう、秀一くん」  慶の手が、秀一の肩にそっと置かれた。 「じゃあ、まず俺の血を受け入れる適格者にならないとね」 「何を……」  慶は、何も言わずに秀一の唇にキスをした。

ともだちにシェアしよう!