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第2話
いつからだろうか、こんな主従のような関係にあいつとなったのは。
普段の俺なら絶対に関わらないであろう類いに入る叶江という存在。
そんな最低野郎の言うことを何でも聞く理由は一つ。
それは俺の大切な義弟であるーーー宵人のためだった。
宵人(ヨイト)は優しく、強い意志を持った奴だった。いつもニコニコ笑って微笑んでいる。
弱音なんて吐かないし滅多に泣かない、怒らない。
世間でよくいう“ いい子 ”だった。大人の望む理想の姿。それが俺の義弟、大切な存在だ。
宵人と俺は血が繋がっておらず、当然の如く顔や身長、体格などは全く似ていなかった。
平均身長を優に越える俺とは違い、宵人は小柄で男につかうのもなんだが、女のように華奢だった。
髪色も色素が薄く栗毛色の俺だが、宵人は
漆黒というのが合うほど、髪色は黒く綺麗だった。
そんな宵人は、今の様子からは伺えないほど
辛い経験を幼い頃にしていた。
それは宵人が俺の家へ養子としてやってきた理由でもある。
宵人には家族がいなかった。
いや、正しくは交通事故で両親を亡くしたのだ。
それは宵人が小学校2年生のころだった。
幼く、まだまだ親を必要とする年齢であるにも関わらず宵人は一度に2人も最愛の人を失くした。
しかも宵人には父系母系ともに祖父母がいなく、一人ぼっちになってしまった。
なにが起こったのか分からず泣きじゃくる宵人。
そんな宵人を温かく迎え入れたのが俺の家だった。
元々宵人の父親は俺の父親の秘書で、母親同士は高校からの友人と、俺と宵人は兄弟のように育ってきていたので当たり前のようにそう事が進んだ。
それから俺と宵人はずっと一緒。
そして俺は幼いながらもこの大切な存在をこれからも守っていこう、そう自分に誓った。
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