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第8話
「 お前をこんなにしたのはあいつ、恵 叶江なんだろう?」
「...っ 、」
寝間着に着替えさせ、俺の部屋に宵人を連れてくる。
ベッドの上には宵人が、その正面には俺が床に座っている。
「 ...別れろ。こんな乱暴な 、」
「 嫌だ!!」
「、よい...と 」
「嫌だ...別れたくない!...好きなんだ。叶江君が好きなんだ。こんなことされても好きな気持ちは変わらない。」
「でも、お前泣いて...」
とっさに俺はあの時の、ベッドで宵人が俺に涙を見せた時のことを思い出した。
あれは怖かったからだろ...恵 叶江のことが...。
「違う!あれは...違う...」
「 何が違うんだよ。お前は怖かったんだ。事実そいつは最低なことをーー」
「 愛都っ!...それ以上は言わないで。お願い...」
「 ...っ」
「初めてなんだ...愛都以外の人間にこんなに近づきたいと思ったの。大丈夫、叶江君もきっと好きで暴力を振るったわけじゃないんだ...もしかしたら僕が何か気に触ることをしてしまったのかもしれないし」
「 ...っバカ野郎、」
手首についた傷を撫ぜ、宵人は優しく微笑む。
...悔しかった。俺の大切な存在がこんなに傷ついているのに、仕返しすることさえできない。
宵人は優しすぎる。こんなになってもまだそいつが好きか...。そんなにひどく暴力を振るわれて...。
俺の忠告も聞かないで...。
ギッと唇を強く噛み、拳を爪の痕がつくほど強く握る。
「ごめんね、愛都。心配かけて、 」
「悪いと思うなら別れろ...」
「...無理だよ。っ、泣かないで愛都、」
恵 叶江の存在がムカついて、同じ目に合わせてやりたい。
でもそれは叶うことのないこと。
悔しい...悔しい悔しい悔しい...俺は目の前の大切な人間が傷ついていくのを黙って指咥えて見ていなければいけないのか。
涙が流れる。一粒、また一粒と。
「ごめんね、愛都。ごめんね、 」
そんな俺を宵人は優しくギュッと抱きしめた。
辛いのは宵人の方のはずなのに...。
流れ続ける涙は止まることがなかった。
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