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第112話※香月視点
「ふっ...ぅ、うっ...ぐっ、ぅ...あぁっ、」
目の前の男を壁に抑えつけながら、香月の屹立をきつく咥えこむ中を欲望のまま激しく突き挿れる。
立った状態で背中を反らせ、尻だけを突き出すようにしている男の姿は妖艶で、色香を放っており香月の興奮は収まることなく、高まっていく。
いつ人が来るかわからないような場所だからか、千麻は声を抑えているが時折甘い嬌声が零れ、欲望を刺激してきた。
ガクガクとして、支える力が弱まってきたのか倒れそうになる千麻の腰を両手で掴み、支える。
そうすれば自然と千麻を押さえつける力はなくなったが、千麻は抵抗しようとはせず、ただただ責められて気持ちよさそうによがっていた。
そう、俺の欲望を享受していたのだ。
乾いた唇を舐め、荒々しく突き上げながら首元に顔を近づける。
「...っ、」
だが、その瞬間香月の目は鋭く細まった。
顔を近づけたことによって、千麻がかぶりを振るたびに見えたのだ。―――まるで、先程つけられたのだろうか、と思わせるほど赤い...うなじにあるキスマークを。
―これも、綾西につけられたものなのか...
「ひっ、い...ぁ、あぁっ、うぐっ、」
衝動のままその痕をガッと噛みつけば、千麻は悲鳴染みた声を出した。
じわり、と滲むようにして香月の口内に広がる鉄の味。
一度、口を離しそこを見れば歯形のついた痛々しいうなじが視界に入った。
笑みを深めた香月は何度も...何度も何度も、そこに舌を這わせて甘噛みした。
そうしていれば、初めのうちは痛がった声を出していた千麻も次第にそこを吸われ、甘噛みするたびに喉からは嬌声を出すようになっていた。
「あぁ...っ、あ、も、キツ...」
壊してしまいそうなほど激しく突き上げ絡みつく内壁に先端や括れた部分、裏筋を擦り快感をむさぼっていればいつしか千麻自身も堪えられない、といった様子で自分のものを右手で上下に扱いていた。
香月が千麻の体を支えている今、千麻は体勢のことなど気にせず一心に自分自身を高みへと追いつめている。
グチュグチュ、という水音。千麻のくぐもった喘ぎ声。肉と肉がぶつかり合う乾いた音。
白いうなじに映える血の滲んだ噛み痕。激しく擦ったせいで赤くなり、ぎちぎちに香月のものを咥える穴の縁。
そこからは精液がグジュ、と揺するたびに出てきていた。
視覚と聴覚...その2つから与えられるもので香月の興奮は最高潮に達し―――
「ンん、んぅ...っ、」
「...ッ」
千麻がイき、中のものを締めつけられた瞬間、香月は奥深くに熱いものを叩きつけるようにして吐きだした。
びゅる、と出るものを全て出し切るようにして、絶頂の余韻に浸る体をしつこく揺すれば、鼻から抜ける小さな喘ぎ声を千麻は零した。
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