2 / 2

第2話

「見つけた…。」 魔王城の地下。 限られたものしか入れない禁断の閲覧室。 そこに悪魔と人間の混血であるテオはいた。 勿論、見つかれば懲罰の対象だ。 「これであの方を目覚めさせることができる。」 悪魔でも使える回復の呪文。 それがテオの目的だった。 「ーーーー。」 禁じられた呪文を小さく呟く。 テオの体の周りに生まれた夜色の靄が、細やかに煌めく。 テオの指先が薄っすらと透明を帯びるが、また元に戻っていった。 「これだ…。」 はやる気持ちを抑え、物音立てず慎重にテオは閲覧室から立ち去った。

ともだちにシェアしよう!